1 内政
●FAのモレイラ上院議員が党執行部に対して次期大統領選挙に立候補する旨伝えた。
●コロラド党が次期モンテビデオ県知事選挙における国民党との選挙協力を決定した。
2 外交
●ムヒカ大統領は第68回国連総会に出席した。
●UPMセルロース工場の年間許容生産量引上げを巡りアルゼンチンとの問題が再燃した。
3 社会
●本年2月の少年法一部改正に伴い,INAUの施設が飽和状態となっている。
●内務省はモンテビデオ県内に約130機の防犯カメラを設置し犯罪の監視を強化している。
●銃器登録件数は59万4431丁となっており,銃器の輸入も急激に増加している。
【概要】
1 内政
(1)政府及び議会の動向
13日,政府はウルグアイ領海及び排他的経済水域を「クジラ及びイルカのサンクチュアリー」とする法律を公布した。
(2)与党FAの動向
ア 14日,コンスタンサ・モレイラ上院議員(Espacio 609)はFA執行部に対して,次期大統領選挙に立候補する旨伝えた。他方でMPPを中心とするEspacio 609は派閥グループとしてバスケス前大統領を支持するといわれており,モレイラ上院議員支持派が離脱する可能性が出てきた。
イ 28日,MPPは全国理事会を開催し,次期大統領選挙党統一候補選出においてバスケス前大統領を支持する旨発表した。
(3)野党の動向
17日,コロラド党は党大会において投票を実施し,次期モンテビデオ県知事選挙における国民党との選挙協力を承認した。
(4)軍政期の人権弾圧問題
24日,第13歩兵大隊駐屯地において,軍政期における逮捕・行方不明者の遺体捜索(人類学調査)が開始された。
2 外交
(1)ムヒカ大統領の第68回国連総会出席
22日~27日,ムヒカ大統領は第68回国連総会出席のためニューヨークを訪問した。
ア 24日,第68回国連総会において一般討論演説を行った。
イ 23日,コロンビアのサントス大統領と会談し,同国の和平プロセスにつき協議した。
ウ 25日,バイデン米副大統領と会談したほか,デイヴィッド・ロックフェラー氏と大麻合法化等につき意見交換した。
エ 26日,グアテマラのペレス・モリーナ大統領と会談した。また同席した両国外相は,麻薬政策策定の情報交換に関する二国間協定に署名した。
(2)対アルゼンチン関係:UPMセルロース工場問題
26日,ニューヨーク滞在中のムヒカ大統領が,UPMセルロース工場の年間許容生産量引上げに関し,120万トンまでの引き上げを認めるとの意向を表明したところ,アルゼンチン政府は29日付コミュニケを通じ、ウルグアイが引き上げを認めた場合にはハーグ国際司法裁判所に再度提訴を行う用意がある旨表明した。
上記経緯を受け,30日にブケブス社の新型フェリー「法王フランシスコ号」進水式典に出席するためブエノスアイレスを訪問したムヒカ大統領はフェルナンデス・アルゼンチン大統領と会談し、10月1日にアルゼンチン外務省において本件に関する専門的・技術的観点からの協議を行うことで合意した。
(3)対ブラジル関係
ア 20日,ブラジルのヒカルド・シェファー開発商工次官が来訪し,ポルト外務次官と会談した。会談は,二国間ハイレベルグループの人とサービスの自由な移動に関するサブワーキンググループの枠組みで行われ,双方は進捗状況につき確認した。次回の同サブワーキンググループ会合は11月にリオデジャネイロで開催予定。
イ 22日,政府はブラジルとの定住ビザに関する協定法案を議会に送付した。同法案は7月9日にブラジリアで開催された二国間ハイレベル・グループ第1回準備会合において署名されたものであり,二国間の人の自由な移動を促進することを目的としている。
(4)ガルシア・マルガージョ・スペイン外務・協力相の来訪
5日、スペインのガルシア・マルガージョ外務・協力相が来訪し,ムヒカ大統領及びアルマグロ外相と会談した。
(5)ポルト外務次官の北中米訪問
ア 2日~3日,エルサルバドルを訪問し,カスタネダ同国外務副大臣と会談した,
イ 5日,ホンジュラスを訪問し,第1回二国間政策協議に出席した。
ウ 6日,グアテマラを訪問し,第3回二国間政策協議に出席した。
エ 11日~12日,米国を訪問し,二国間の通商関係,学術交流,科学技術協力,麻薬対策等について関係者と意見交換を行った。
(6)対ボリビア関係
ア 3日,ボリビア港湾局(ASP-B)のミッションがウルグアイを訪問し,ヌエバ・パルミラ港を視察した。
イ 26日,政府はボリビアのメルコスール正式加盟議定書承認法案を議会に送付した。
(7)その他
ア 2日~3日,フランク・ラ・ルー国連表現の自由の権利に関する特別報告者がウルグアイを訪問し、ムヒカ大統領を表敬した。
イ 3日,モンテビデオで第3回LGBTツーリズム国際会議が開催され,ケチチアン観光スポーツ相が出席した。
ウ 3日付「エル・オブサルバドール」紙によれば,次期国連代表部大使にゴンサロ・コンケ外務省官房長が就任することとなった。議会の承認を得た後,12月に着任予定。
エ 8日,アルゼンチンのアンデス山中で,チリ側から徒歩でアンデス山脈越えを試み5月から行方不明になっていたウルグアイ人ラウル・ゴメスが発見・保護された後,アルゼンチンの警察により身柄を拘束された。同人には,男児に対する性的虐待をしたとしてチリの裁判所に訴えが出されていたが,裁判所への出頭命令を無視したためチリからの出国禁止命令が出されていた。チリの司法当局から逃れるために不法にアルゼンチン側へ越境した後に遭難したとみられている。今後,チリへの身柄引き渡し手続きが進められる予定。
オ 23日付「カラス・イ・カレタス」誌電子版によれば,アルベルト・ブレチア前大統領府長官が駐イタリア大使に就任することとなった。
カ 25日,外務省は来年初頭にインドがモンテビデオに大使館を開設する旨発表した。
3 社会
(1)治安
ア 現在ウルグアイ少年庁(INAU)の施設には定員350人に対し615人が収容されており,飽和状態となっている。また,収容人数は増加傾向が続いている。これは,本年2月に少年法が一部改正され,殺人,強盗,強姦等の凶悪な犯罪少年の最低入院期間が6カ月から12カ月に延長されたことが影響しているものと見られている。さらに,初犯者,少女,地方出身者の増加が目立っている。
イ 内務省はモンテビデオ県内において約130機の防犯カメラを街頭等に設置し,犯罪の監視を強化している。防犯対策に効果を上げていることから,今後地方8市(マルドナード県,リベラ県,フローレス県,コロニア県,リオ・ネグロ県,サルト県,パイサンドゥ県,ソリアノ県)にも設置を進めていくこととしている。
ウ 国防省国家銃器登録局によれば,現在の銃器の登録件数は59万4431丁となっている。また,銃器の輸入は急激に増加しており,2003年に384丁であったものが,本年は7000丁を超える見込みとなっている。他方,犯罪に使用された銃のうち約半数は未登録のものであり,国内には登録件数の約2倍の100万丁以上が出回っていると見られている。