1.内政
●バスケス前大統領は、党の承認が得られれば次期大統領選挙に立候補する用意がある旨FA執行部に伝えた。
●同性婚法が施行され、ウルグアイは世界で12番目、ラテンアメリカではアルゼンチンに次ぎ2番目に同性婚を認める国となった。
2.外交
●ムヒカ大統領はカルテス・パラグアイ大統領就任式に出席した。
●アルマグロ外相はスリナムで開催された第7回UNASUR首脳会合に出席した。
3.社会
●ユダヤ中央委員長が与野党幹部に対して世界的なナチス思想の再興への懸念を伝えた。
●モンテビデオ市内の郵便局で強盗事件が発生し、銃撃戦の末に2名が死亡した。
【概要】
1.内政
(1)政府、議会及び与党FAの動向
ア 5日、本年5月3日に公布された同性婚法(法律第19075号)の修正法である法律第19119号が施行され、ウルグアイは世界で12番目、ラテンアメリカではアルゼンチンに次ぎ2番目に同性婚を認める国となった。
イ 7日、バスケス前大統領は、党の承認が得られれば次期大統領選挙に立候補する用意がある旨FA執行部に伝えた。
ウ 20日、Corriente PopularがセンディックANCAP総裁率いるLista 5005からの離脱を表明した。また、21日、マリア・フリア・ムニョス元厚生大臣もLista 5005からの脱退を発表した。
エ 22日、政府は改正国家公務員法(法律第19121号)を公布した。
オ 29日、センディックANCAP総裁はラジオ番組の中で本年10月15日に辞職し、次期選挙に向けた政治活動を開始する旨述べた。
(2)野党の動向
28日、ハビエル・デ・アエド元経済次官(国民党)はWEB雑誌のインタビューにおいて、センディックANCAP総裁が創設したシンクタンク「プロプエスタ・ウルグアイ2030」に経済顧問として加入したことを明らかにし、イデオロギー的にはアストリ副大統領に最も親近感を覚えると述べた。
(3)世論調査結果
ア 28日、Cifra社が支持政党に関する世論調査結果を発表し、FA46%、国民党27%、コロラド党15%、独立党2%等となった。
イ 29日、Cifra社がムヒカ大統領への評価に関する世論調査結果を公表し、「親しみを感じる」との回答が49%(本年3月比-4ポイント)、「政策を評価する」との回答が45%(同-2ポイント)となった。
(4)軍政期の人権弾圧問題
13日、1976年にアルゼンチンで4人のウルグアイ人が失踪した事件に関与した疑いで国際指名手配されていたアントラニグ・オハネシアン元少佐が、潜伏中のモンテビデオ市内のマンションでインターポールにより逮捕された。同元少佐に対しては、上記4人のウルグアイ人行方不明者がイタリア国籍を有していたことから、イタリア司法当局が国際指名手配を要請していた。
2.外交
(1)ムヒカ大統領のパラグアイ大統領就任式出席
15日、ムヒカ大統領はカルテス・パラグアイ大統領就任式に出席した。
(2)アルマグロ外相のUNASUR首脳会合出席
30日、アルマグロ外相はスリナムで開催された第7回UNASUR首脳会合に出席した。
(3)メルコスール加盟国外相と潘基文国連事務総長との会談
5日、アルマグロ外相はティメルマン・アルゼンチン外相、パトリオッタ・ブラジル外相、チョケワンカ・ボリビア外相及びハウナ・ベネズエラ外相とともにメルコスール加盟国外相として潘基文国連事務総長と会談し、米国による諜報活動及びモラレス・ボリビア大統領専用機に対する欧州諸国による領空通過許可取消につき懸念を伝えた。
アルマグロ外相はまた、6日に国連安保理事会において南大西洋平和協力地帯(ZOPACAS)議長国代表としてスピーチした。
(4)対アルゼンチン関係
ア 27日、アルゼンチンのフェルナンデス大統領が来訪し、ラ・テハのエドゥアルド・アセベド・バスケス脱硫プラントの開所式にムヒカ大統領と共に出席した。また、ANCAPとYPF社はウルグアイからアルゼンチンへの天然ガス供給に関する覚書に署名した。今次訪問にはティメルマン・アルゼンチン外相、キシロフ同国経済省経済政策長官、ガルッチオ同国YPF社CEO他が同行した。
イ 30日、UPM社は9月14日~24日に年次メンテナンスのため工場を一時休止する旨発表するとともに、本年の生産量が年間許容生産量110万トンに達しつつあるため、政府に対して年間許容生産量を130万トンに引き上げるよう要請した。これに対して政府は環境団体による反対運動等アルゼンチンとの関係悪化への懸念から、年間許容生産量引き上げには応じないとの立場を明らかにしたため、UPM社は11月まで工場閉鎖を余儀なくされる可能性が出てきた。
(5)要人往来
ア 1日、メキシコのクアテモク・カルデナス元上院議員が来訪し、ムヒカ大統領を表敬した。また、同国ラサロ・カルデナスセンターがムヒカ大統領に対して2013年アマリア・ソロルサノ賞を授与することが伝えられた。
イ 6日、カナダのベアード外相が来訪し、ムヒカ大統領、アストリ副大統領と会談した。
ウ 14日、ケチチアン観光スポーツ大臣はブエノスアイレスで開催されたUNASUR観光大臣会合に出席した。
エ 27日、フランシスコ・サンチェス米国商務次官が来訪し、ムヒカ大統領を表敬したほか、ロレンソ経済財務相とともに税関局と米国商務省国際貿易局(ITA)との税関手続改善のための協力に関する覚書に署名した。
オ 28日、ブレンタ労働社会保障相はペルーで開催されたILO関係会合に出席した。
カ 28日、モンテビデオで第2回ウルグアイ・コスタリカ政策協議が開催され、ポルト外務次官、ジョコンダ・ウベダ・コスタリカ外務副大臣らが出席した。
(6)その他
ア 12日~15日、モンテビデオで国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)主催の第1回ラテンアメリカ・カリブ人口開発地域会議が開催され、130条に及ぶ「人口と開発に関するモンテビデオ・コンセンサス」が採択された。
イ 25日、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUC)に参加するウルグアイ軍部隊基地近くにおいて激しいデモが行われ、コンゴ国家警察、警備会社、MONUC部隊の発砲により2名のデモ参加者が死亡する事件が発生した。ウルグアイ外務省は26日にコミュニケを発出し、ウルグアイ軍はデモ隊に向けて実弾の発砲は行っていない旨表明した。
3.社会
(1)治安
ア シホン・ユダヤ中央委員長が与野党の主要4政党の幹部と会談し、世界的なナチス思想の再興に対する懸念を伝えた。特にハンガリーでは、反ユダヤ主義に加え反ジプシー、反同性愛、反移民の立場を取る極右派が議席を増やしているほか、2年前にはチリでネオナチ4人による同性愛者を狙った傷害致死事件も発生しており、ウルグアイにおいてもネオナチや反ユダヤ主義者による脅迫や落書きが確認されていることへの懸念を示した。
イ 5日、モンテビデオ市ポシートス地区の郵便局で強盗事件が発生し、警官隊との銃撃戦の末に警官1名と犯人1名が死亡した。ゲレロ大統領府長官は死亡者が出ないことが望ましいとしつつも警察による対応を評価し、ボノミ内相を無条件で支持する意向を示した。ボノミ内相は大統領から要請が無い限り辞任する考えは無いことを強調し、現在の治安対策が正しい方向に向かっているとの見解を示した。また、引き続き汚職に対する厳格な対応を取ること、レスポンスタイムの短縮により逆に銃撃戦の発生する確率が高くなることに触れた。