1.内政
●下院は大麻合法化法案を可決した。
●FAのAlianza Progresistaはバスケス前大統領の次期大統領選挙立候補支持を発表した。
2.外交
●モンテビデオで第45回メルコスール共同市場会合・首脳会合が開催された。
●ムヒカ大統領はキューバを訪問した。
3.社会
●改正道路交通法規が施行された。
●本年上半期に窃盗が3万4000件、強盗が6000件増加している。
【概要】
1.内政
(1)政府、議会及び与党FAの動向
ア 31日、下院は大麻を合法化する「大麻及びその派生品の輸入、生産、取得、保管、販売及び流通の規制管理に関する法案」を賛成50票、反対46票、棄権3により可決した。今後上院での審議に付される。法律として施行されれば、ウルグアイは世界で初めて大麻の栽培、販売、消費の全てを合法化し国家の規制管理の下で認める国となる。また同日、政府はアルコールの販売規制に関する法案を議会に送付した。
イ 30日、FAのAlianza Progresistaはバスケス前大統領の次期大統領選挙立候補を支持すると発表した。
(2)野党の動向
ア 16日、国民党のDignidad Nacionalのセルヒオ・アブレウ上院議員は、自身の次期大統領選挙党内候補選出に向けた支持グループにカルロス・アルバレス元市民同盟(UC)副代表が参加すると発表した。アルバレス元UC副代表は、同性婚や中絶法を巡る国民党のAlianza Nacional(2008年よりUCと選挙協力)の方針を批判し、6日にUCを脱退していた。
イ 28日、国民党はオラシオ・デ・ロス・サントス元パイサンドゥ県庁事務局長を除名処分とする旨発表した。同氏は、公共施設において開催された「不適切な振る舞いを伴うパーティー」に未成年者数名とともに参加したことから検察により起訴されていた。
(3)世論調査結果
ア 5日、Factum社が閣僚評価に関する世論調査結果を発表し、アストリ副大統領が70ポイントで最も高い評価を受けたほか、ロレンソ経済財務相(67ポイント)、ケチチアン観光スポーツ相(66ポイント)らが高評価を受けた。ムヒカ大統領はアルマグロ外相と同率で7位(58ポイント)となった。
イ 9日、Factum社が支持政党に関する世論調査結果を発表し、FA44%、国民党24%、コロラド党15%、独立党2%等となった。
ウ 24日、Cifra社が支持政党に関する世論調査結果を発表し、FA43%、国民党25%、コロラド党14%、独立党2%等となった。
(4)労働問題
22日、中等教育教員組合(ADES)モンテビデオ支部は6月20日から続いていた賃上げ要求ストライキを一時中断した。教員賃金については2010年~2015年に22.8%引き上げることを定めた協約が存在しているが、組合は更なる賃上げを要求し政府との間で合意が得られず、授業が実施されない状態が続いていた。組合は8月にストライキを再開する予定。
2.外交
(1)第45回メルコスール共同市場会合・首脳会合の開催
11日~12日、モンテビデオで第45回メルコスール共同市場会合・首脳会合が開催され、参加停止中のパラグアイを除く正式加盟国の首脳及び外相、準加盟国代表らが出席したほか、特別招待国として日本からは水上正史メルコスール担当代表(在アルゼンチン日本国大使)が出席した。主な会合成果は以下のとおり。
ア 8月15日付でパラグアイの参加権一時停止措置が解除される旨決定された。
イ スペイン、フランス、イタリア及びポルトガルによるモラレス・ボリビア大統領搭乗機に対する領空通行許可取消措置を非難し、説明と謝罪を求める旨決定された。
ウ 米国による諜報活動を非難し、次期国連総会で本件の解決を提案する旨決定された。
エ 亡命の権利の国際承認に関する決定が採択された。
オ ガイアナ及びスリナムの準加盟に関する枠組み協定への署名が行われた。
カ 議長国がベネズエラに移譲された。
(2)欧州諸国によるモラレス・ボリビア大統領搭乗機に対する領空飛行許可取消問題
ア 4日、欧州4カ国によるモラレス・ボリビア大統領搭乗機に対する領空通行許可の取消措置に関して議論するため南米諸国連合(UNASUR)緊急首脳会合がボリビア・コチャバンバで開催され、ムヒカ大統領が出席した。
イ 17日、外務省はウルグアイに駐在するスペイン、ポルトガル、フランス及びイタリアの大使を召還し、第45回メルコスール首脳会合における「メルコスール加盟国によるエボ・モラレス大統領への支持の決定」に関する通報を行った。
(3)ムヒカ大統領のキューバ訪問
24日~28日、ムヒカ大統領はキューバを訪問し、ラウル・カストロ国家評議会議長、フィデル・カストロ前国家評議会議長らと会談したほか、モンカダ兵営襲撃事件60周年記念式典に出席した。なお、当初28日~29日に予定されていたエルサルバドル訪問は日程の都合上キャンセルとなった。
(4)アストリ副大統領のブラジル訪問
28日、アストリ副大統領はブラジルを訪問し、ローマ法王フランシスコが執り行った世界青年の日ミサに外遊中のムヒカ大統領の代理として出席した。
(5)対ブラジル関係:二国間ハイレベルグループ第1回準備会合の開催
9日、ブラジリアにおいてブラジル・ウルグアイ二国間ハイレベルグループ第1回準備会合が開催され、アルマグロ外相が出席した。両国政府は、7分野(生産統合、科学技術・技術革新、情報通信、運輸インフラ統合、物品・サービスの自由な移動、人の自由な移動)に亘る「ブラジル・ウルグアイの持続可能な発展及び統合のための行動計画」に署名した。
(6)対アルゼンチン関係:ウルグアイ川浚渫計画の承認
24日、ウルグアイ川管理委員会(CARU)はウルグアイ川浚渫計画を承認し、国際入札を通じて事業が実施されることとなった。
(7)要人往来
ア 23日、ミゲル・インスルサ米州機構(OAS)事務総長が来訪し、ムヒカ大統領と会談した。また外務省において講演を行い、「米州における麻薬問題に関するOAS報告書」に関するプレゼンテーションを行った。
イ 23日、フィリッポ・ロンバルディ議長率いるスイス全州議会(上院)議員団が来訪し、ゲレロ大統領府長官、アストリ副大統領兼上院議長、カルドソ下院議長らを表敬した。
ウ 26日~29日、ロシア連邦議会下院(ドゥーマ)議員団が来訪し、アストリ副大統領兼上院議長、下院外交委員会メンバーらを表敬した。
エ 16日、カネパ大統領府副長官はニューヨークを訪問し、ブルームバーグ市長と会談した。
(8)その他
ア 3日、本年2月に行われたフィリップモリス社との間の投資紛争解決国際センター(ICSID)仲裁手続き結果が発表され、ICSIDが本件につき仲裁を実施することが決定された。第一回仲裁廷公聴会は2014年末に実施される予定。
イ 19日、教育文化省は「アルメニア人大虐殺追悼博物館」建設計画を発表した。建設が実現すれば、アルメニア国外では初めての同テーマに関する博物館となる。ウルグアイ国内には約2万人のアルメニア系住民が居住しており、ウルグアイ政府は1965年に世界で初めてトルコによるアルメニア人大虐殺を認定している。
3.社会
(1)治安
ア 6日、改正道路交通法規が施行された。主な改正点は以下のとおり。
① 12歳以下の者及び18歳以下で身長1.5メートル未満の者を自動車に同乗させる場合には後部座席に乗せなければならない。
② 原動機付自転車やオートバイにはステップに足の届かない青少年を同乗させることはできない。
③ 原動機付自転車、オートバイ及びバギーの運転者及びその同乗者は反射器材を着用しなければならない。
④ 原動機自転車等に背後の視界を妨げる物を取り付けている場合には、反射器材を取り付けなければならない。
⑤ 自転車を運転する際には国内基準に適合するヘルメットを着用しなければならない。
⑥ 走行中に携帯電話(ハンズフリーを除く)及びその他の通信機器を使用してはならない。
⑦ 四輪車以上の自動車には救急箱を備えなければならない。
イ 警察幹部の退職者及び現役が会員となり活動している警察サークル(Círculo Policial)の会報6月号によれば、本年上半期において窃盗が3万4000件、強盗が6000件増加している。また、ボノミ内相による内務省の運営に関して、現在の政策は治安改善には繋がっていない、警察内部に政治色を与えていると批判している。
ウ 旧市街の憲法広場において女性が2人組に暴行された事件を受け、コペッティ・モンテビデオ県議(国民党)は、カラスコ地区において導入されている携帯電話を活用した緊急通報ネットワークシステムをシウダ・ビエハ地区にも導入することを提案している。