1 概要
(1)内政
●14日、ロサディージャ国防大臣は辞職する旨発表。26日、ウイドブロ前上院議員(与党拡大戦線(FA)党CAP-L派所属)が新大臣に就任した。
●11日、政府はビグニョリ社会開発大臣を更迭し、オレスケル厚生大臣を後任とすることを発表、オレスケル大臣は20日に就任した。これに伴い、18日、ベネガス厚生大臣(前厚生次官)、ブリチオ厚生次官が就任した。
●17日、軍政期における一連の憲法違反等の人道に対する罪で2010年2月に30年の禁固刑を受けていたボルダベリー元大統領(83歳)(大統領任期1972年~76年)が逝去した。
●25日、ブオノモ経済財務次官は「ム」大統領に辞表を提出、「ム」大統領はこれを受理し、後任にポルト国家開発公社(CND)総裁(拡大戦線党(FA)党)を任命した。ブオノモ次官は新たに経済担当の大統領補佐官に就任。
(2)外交
●12~15日、アルマグロ外相、ブオノモ経済財務次官(当時)、カロイア共和国銀行総裁
やその他関係機関代表者及び乳製品、情報技術、穀物生産分野等における企業家を含む代表団がメキシコを訪問し、同国政府関係者や該当分野における企業幹部等と面会した。
●ウルグアイ政府は、ホロコーストの存在に疑問を呈した駐ウルグアイ・イラン臨時代理大使を召喚し、同人の発言を非難した。
(3)社会
24日、サッカー南米選手権の決勝戦(ウルグアイ対パラグアイ)がブエノスアイレ
スで開催され、ウルグアイはパラグアイに3対0で圧勝し、優勝した。
2 内政
(1)政府及び議会の動き
ア 閣僚交代
(ア)14日、免疫性疾患で大臣職の続行が困難となったロサディージャ国防大臣は、大臣職を辞職する旨発表した。これを受け「ム」大統領はウイドブロ前上院議員(与党拡大戦線(FA)党CAP-L派所属)を同省新大臣に任命した。新大臣は26日に正式に就任。ロサディージャ前国防大臣は病休を取得後、体調の善し悪しを見つつ上院議員として復帰するか決定する見込み。
(イ)4日、これまでに路上生活者が寒波による低体温症等で相次ぎ死亡したことから、「ム」大統領は閣議で本件を議題とし、各閣僚に現状打開及び路上生活者の保護施設への強制入所を調整するよう指示。6日、路上生活者の保護施設強制入所法案が両院において全会一致で緊急可決された。11日、政府は本件につき社会開発省が即座の対策を怠ったとして、ビグニョリ社会開発大臣を更迭し、オレスケル厚生大臣(当時)を後任とすることを発表した。
(ウ)18日、ベネガス厚生大臣(前厚生次官)、ブリチオ厚生次官が就任、20日にはオレスケル社会開発大臣が就任した。
(エ)昨年12月から、ロレンソ経済財務大臣と確執があると報じられていたブオノモ経済財務次官は、25日、「ム」大統領に辞表を提出、「ム」大統領はこれを受理し、後任にポルト国家開発公社(CND)総裁(拡大戦線党(FA)党)を任命する旨発表した。ブオノモ次官は、自身の経済財務省への貢献の限界を辞任の主な理由とし、ロレンソ経済財務大臣との確執については否定した。今後は、「ム」大統領の要請を受け、大統領府において経済分野の大統領補佐官としての職務に就任。なお、ポルトCND総裁の後任には、ロドリゲス同公社執行部政府代表(FA党MPP派)が就任する。
イ 6日、上院は、補導歴のある少年が成人(満18歳)となってからも、未成年時の補導歴の記録を2年間保存することを可能とする法案(当館注:現行法では補導歴は18歳時点で全て抹消)を可決した。
ウ 12日、下院は官民連携法案を可決した。6日には、同法案の上院での審議に与党拡大戦線(FA)党共産党派ロリエル上院議員が欠席し、同法案可決に向けたFA党決定に従わなかったことから党内批判が高まった。
(2)内務関係
ア 当国政府は、国家警備隊のためロシアから3台の防弾車を購入。また210台のパトカーや50台のトラックについては年末までに入札が完了する見込み。尚、中国はこれまで500台のバイクを供与した。
イ 26日、ボノミ内務大臣は年末までに約600人の軍人が警官となり、今年10月か11月には911(日本の110番)サービスに最新のシステムが導入される見込みと発表した。
(3)国防関係
ロサディージャ国防大臣の顧問による同省女性職員に対するセクハラが摘発され、国防省は独自の調査を開始。12日、ロサディージャ大臣は大臣職辞任直前に下院国防委員会で説明を行った。
(4)軍政期(1973年~85年)の犯罪
ア 17日、軍政期における一連の憲法違反(大統領令により民主主義を断絶させたこと等)、9件の強制失踪及び2件の殺人罪(1976年当時議員であったセルマル・ミケリーニ氏及びエクトル・グティエレス氏のブエノスアイレスにおける殺害)等の人道に対する罪(lesa humanidad)で2010年2月に30年の禁固刑を受けていたボルダベリー元大統領(83歳)(大統領任期1972年~76年)が逝去した。同人は2006年12月に起訴され、56ヶ月前から自宅軟禁状態であった。なお、ボルダベリー元大統領の遺体は同日埋葬され、数千人が葬儀に参列したものの、大統領府は前バスケス政権時(2006年)に公布された法令第18023号に基づき、軍政期に大統領及び副大統領職を務めた者に対する国葬は執り行わない旨改めて発表した。
イ 21日、1981年にMLN-Tのラモス氏が死亡した件で、グラ退役大佐が重大な殺人罪の共同正犯者として、また、リベロ退役大佐が証拠隠蔽の罪で起訴された。
(5)労働関係
全国労働総同盟(Pit-Cnt)は官民連携法可決及び団体交渉の問題を巡り、28日に実施するとしていたストライキを延期(8月18日予定)したが、中等教育教員及び厚生省職員は、給与交渉及び官民連携への反対表明のため同日9時から13時までストを実行した。
(6)その他
ア 11日、モンテビデオ県庁に投資事務所が設置され、運営を開始した。同事務所は投資受け入れと助言等を行う他、国内・海外投資家への明確な規則などを決め、モンテビデオ内での投資導入を考える投資家等にとって最初のコンタクト先となる。
イ 元FA党サラビア上院議員は、失効法の無効化法案を巡り同党を離党したことから、国民党内にConcertacion Republicana Nacional派を結成。今後の派閥構成員は国民党、コロラド党、さらに内陸部におけるFA党からの出身者となる由。
3 外交
(1)対アルゼンチン関係
ア 14日、二国間産業委員会第3回会合がモンテビデオで開催され、コンデ外務次官及びクレクレル・アルゼンチン外務次官補(通商・国際経済担当)等が出席した。両氏は、二国間経済協力、既に存在する通商・投資貿易の重要性等について確認し、通商モニタリングに関する協議メカニズムを高く評価した他、二国間の経済・通商・投資協力を促進する為の方策を提案する二国間経営者審議会の設置について協議した。
イ 26~27日、二国間の科学技術協力協定に基づき、技術協力委員会第1回会合がモンテビデオで開催され、今後2年で保健、教育、農業、持続可能な開発、移住、観光等に関する二国間南南協力プログラムを推進していくことが合意された。
(2)対ブラジル関係
7日~8日、コンデ外務次官とノゲイラ伯外務次官の主催により、両国間国境開発協力に関する第7回上級官僚会議が開催され、保健、環境、政策・法整備協力、社会政策に関するワーキンググループのセッションが開かれた。
(3)対ベネズエラ関係
ア 4日、キューバでの緊急手術後帰国したチャベス大統領に対し、「ム」大統領は架電
、見舞いの意を表した。
イ 5日、「ム」大統領及びアルマグロ外相はベネズエラ独立200周年記念式典出席のため同国を訪問。「ム」大統領は、ルーゴ・パラグアイ大統領及びモラレス・ボリビア大統領と共にチャベス大統領に面会した。
(4)対メキシコ関係
12~15日、アルマグロ外相、ブオノモ経済財務次官(当時)、カロイア共和国銀行総裁
やその他関係機関代表者及び乳製品、情報技術、穀物生産分野等における企業家を含む代表団がメキシコを訪問し、同国政府関係者や該当分野における企業幹部等と面会した。
13日、エスピノサ外相と会合し、二国間・地域・国際課題について詳細な確認を行い、「ム」大統領の11月の同国訪問の可能性についても協議した。また、二国間FTAによる貿易量の増加やメキシコからウルグアイへの投資増加についても評価した。
翌14日には、農畜水産農村開発食料省大臣、経済大臣及び財務大臣の他、メキシコ企業家等と会合を行った。メキシコ企業家等からは、特にインフラセクターにおけるコンセッション方式や官民連携法に関心が示された。
(5)対ペルー関係
27日、「ム」大統領はアルマグロ外相とともにペルーを訪問、ガルシア大統領主催の晩餐会に出席した。28日午前には、ウマラ新大統領の大統領就任式典に出席した。
(6)対米州機構関係
ア 5日~8日、米州機構エスコバル特別報告者が、「収監者の権利」の調査のためウルグアイを訪問、国内刑務所を視察した他、政府及び市民社会代表者等と会合した。同報告者は、ウルグアイ青少年庁(INAU)、コムカル刑務所及びリベルタ刑務所等の状態は非常に悪く、人権侵害に値するとした。
イ 25日、米州機構人権委員会は、コムカル刑務所の3モジュールが人を収容するには不適切で、人口密度も200%と高いことから閉鎖するようウルグアイ政府に勧告した。
(7)その他
ア 22日、ウルグアイ政府は同日ノルウェーで起きたテロに対し、同国及び同国政府に対する深い哀悼と連帯の意を表する声明を発出した。
イ 26日、2007年第17回イベロアメリカ首脳会合において協定締結されたイベロアメリカ社会保障多国籍協定が批准され、イベロアメリカ14諸国間においては海外で勤務した年数も定年退職年数に数えることができるようになった。
ウ 27日、「テロとの闘いに関する真実と虚実」と題される会合に出席した駐ウルグアイ・イラン臨時代理大使が、ホロコーストの存在に疑問を呈すると同時に、イスラエルがホロコーストを被害者意識の植え付けのため利用していると批難したことに対し、ウルグアイ政府は同臨時代理大使を召喚し、同臨時代理大使の言及を非難、ホロコーストが否定できない歴史的事実であると主張した。
4 社会
(1)治安
ア 14日、商店に対する二つの強盗殺人事件で監視員等3名が殺害された。そのため、19日、CAMBADU(個人商店等の協会)加盟店5,700店舗が、治安改善を求めるスト(14:00~17:00)を実施した。これについてボノミ内務大臣は、「商店の人々の気持ちを察するが、警察の人員、車両等が不足し防犯が困難となっている。現在、軍隊から警察官1,500人の枠を補充するために募集を行っている。11月までには警察官の不足等の状況を改善したい。」と述べた。モンテビデオ県の警察官の数は4,943人。毎月40人から50人が退職している状況にあり、県警では現在、警察官1,056人を募集している。また、警察車両225台が修理待ちであり、物的にも不足している状況にある。
イ 27日、内務省が今年度上半期における全国の犯罪統計を発表。殺人127件(前年比-22.1%)、強盗8,080件(前年比+8.2%)、窃盗5万1,997件(前年比+1.1%)となっており、強盗の増加が目立っている。
ウ 29日、カネロネス県ピエドラス市の個人商店に銃を持った3人組が押し入り、現金を奪って逃走しようとしたところ、商店主がナイフを持って反撃してきたため、商店主を銃により殺害した。これで、7月中の個人商店に対する強盗殺人事件は3件目で、4人が殺害された。内務大臣等が、商店主らに銃を持たないよう推奨しているが、同市の住民はこれに反発し、治安改善のため、武装して犯罪者を排除しようと動き出している。
(2)アンケート調査会社Factum社の調査によると、ウルグアイ国民にとって最もイメージの良い国内機関は1位 銀行、2位 議会、3位 警察となった。また、最もイメージの悪い機関は労組と政治政党であった。
(3)22日、国連ユネスコはサッカー・ウルグアイ代表のタバレ監督にユネスコ・スポーツ・チャンピオンの称号を授与した。
(4)24日、サッカー南米選手権の決勝戦(ウルグアイ対パラグアイ)がブエノスアイレ
スで開催され、ウルグアイはパラグアイに3対0で圧勝し、優勝した。