1.内政
●中絶法に対する国民投票実施の是非を問う全国規模の投票が行われ、国民投票は実施されないことが決定された。
●政府は会計報告・補正予算案(Rendición de Cuentas)を議会に送付した。
2.外交
●ムヒカ大統領はスペイン及びバチカンを訪問した。
●ポルト外務次官は第43回OAS総会及び第6回FEALAC外相会合に出席した。
●丹羽秀樹文部科学大臣政務官が来訪した。
3.社会
●刑務所が飽和状態にあり、内務省では刑務所の増築や新設を進めることとしている。
●登録銃器数58万4112丁とほぼ同数の無登録の銃器が出回っていると推測されており、昨年発生した殺人事件のうち73%に銃器が使用されている。
【概要】
1.内政
(1)政府、議会及び与党FAの動向
ア 23日、人工妊娠中絶を認める法律第18.987号(通称:「中絶法」)に対する国民投票実施の是非を問う全国規模の投票が行われたが、賛成票総計が全有権者数の8.88%(23万2841票)と国民投票実施に必要な25%に満たなかったため、国民投票は実施されないことが決定された。
イ 27日、1973年の軍事クーデター40周年を追悼する臨時両院総会が開催された。ムヒカ大統領ら政府関係者や三軍の長も出席する中、コロラド党を代表してスピーチをしたオペ・パスケ上院議員がクーデターにおけるコロラド党の責任を認める発言をしたことから、同党内から激しい非難を浴びた。
ウ 30日、政府は会計報告・補正予算案(Rendición de Cuentas)を議会に送付した。
(2)野党の動向
ア 15日、国民党のホルヘ・ララニャガ上院議員率いるAlianza Nacionalとフランシスコ・ガジナル上院議員率いるCorrentada Wilsonistaは、次期大統領選挙での連携を正式に発表した。
イ 25日、国民党のルイス・アルベルト・ラカジェ・ポウ下院議員は、自身の次期大統領選挙党内候補選出に向けた支持グループ「Todos」を立ち上げた。
(3)世論調査結果
12日、Cifra社が支持政党に関する世論調査結果を公表し、FA45%、国民党23%、コロラド党15%等となった。
(4)軍政期の人権弾圧問題
ア 10日、スペインのバルタサル・ガルソン元判事が来訪し、共和国大学で講演を行った。ガルソン元判事は、本年2月に最高裁から突如異動となったマリアナ・モタ判事の件に関して、最高裁の多数派にとり不都合な判事を外すために行われた完全な政治的決定であると述べるとともに、本年2月に最高裁が軍政期の人権弾圧に関する免責法の所謂無効化法の一部を違憲とする判決を出したことに関し、真実解明を妨げる憂慮すべき事態であると批判した。
イ 18日、イタリアのジャンカルロ・カパルド検事は、軍政期の「コンドル作戦」に関連し23名のイタリア人市民が死亡した件に対して、グレゴリオ・アルバレス元大統領(1981年~1985年)やフアン・カルロス・ブランコ元外相(1972年~1976年)ら計17名のウルグアイ軍人・文民をイタリア法廷に告訴した。告訴には、ボリビア(2名)、チリ(12名)、ペルー(4名)の軍人も含まれている。
ウ 25日、最高裁は、1981年にモンテビデオ市内のリベルタ刑務所で政治囚のオラシオ・ラモスが死亡した件に関し、拷問の末での処刑であるとして2011年に人道に対する罪で訴追されていたワルテル・グジャ元大佐及びエンリケ・リベーロ元空軍将校に対して証拠不十分により無罪判決を言い渡した。
2.外交
(1)ムヒカ大統領のスペイン及びバチカン訪問
5月28日~6月5日、ムヒカ大統領はスペインを訪問し、スペイン国王フアン・カルロスI世に拝謁したほか、ラホイ西首相との会談、サンタンデール・グループ主催のビジネスセミナーでの講演、バスク自治州首相(レンダカリ)との会談、ガリシア自治州首相との会談等を行った。また、1日にはバチカンを訪問し、ローマ法王フランシスコに拝謁した。
今次訪問には、先般の中国訪問に同行したアルマグロ外相、クレイメルマン工業エネルギー鉱業相、ピンタド運輸公共事業相、カネパ大統領府副長官らに加え、アゲレ農牧水産相、ケチチアン観光スポーツ相、ベルトラメ住宅土地整備環境相、ロレンソ経済財務相らが同行した。
なお、4日~5日にイタリア訪問が予定されていたが、過酷な外遊日程により極度に疲労していたことから、同行していた主治医の判断により訪問をキャンセルした。
(2)ポルト外務次官の第43回OAS総会出席
4日~6日、ポルト外務次官はグアテマラ・アンティグアで開催された第43回OAS総会に出席した。
(3)ポルト外務次官の第6回FEALAC外相会合出席
13日~14日、ポルト外務次官はインドネシアのバリ島にて開催された第6回FEALAC外相会合に出席した。
(4)ブレンタ労働社会保障相の第102回ILO総会出席
20日、ブレンタ労働社会保障相はジュネーブで開催された第102回ILO総会に出席するとともに、ガイ・ライダーILO事務総長と会談した。
(5)丹羽文部科学大臣政務官の来訪
16日~18日、丹羽秀樹文部科学大臣政務官が来訪し、アストリ副大統領兼上院議長、エルリッチ教育文化相、カランブラ観光スポーツ相代行(次官)らと会談したほか、草の根・人間の安全保障無償資金協力供与施設、日本庭園、ソリス劇場、センテナリオ競技場等を視察した。
(6)オルギン・コロンビア外相の来訪
25日、オルギン・コロンビア外相が来訪し、アルマグロ外相と会談した。両国外相は二国間の戦略的連携に関する覚書に署名した。
(7)対アルゼンチン関係
24日~25日、ベジャ・ウニオン及びアルゼンチン・コンコルディアにおいてウルグアイ・アルゼンチン国境統合委員会会合が開催された。
(8)その他
ア 7日、ノーブル・インターポール事務総長が来訪し、ボノミ内務省と会談した。両者は、インターポールとメルコスール治安情報交換システム(SISME)との連携に関する協力協定に署名した。
イ 27日、政府はボリビアとの南南協力協定に署名した。
ウ 28日、政府はキューバとの医療協力協定の期間延長に署名した。
3.社会
(1)治安
ア 内務省の発表によると、本年2月現在における刑務所の収容数は9829人であり、1998年から約4倍に増加している。刑務所は飽和状態にあり、マルドナード県の刑務所では収容率が202%となっている。内務省では刑務所の増築や新設を進めることとしている。
イ ウルグアイ法律社会研究所(IELSUR)によると、国家銃器登録局に登録されている銃器の数は58万4112丁(うち11%が軍及び警察関係者)であり、ほぼ同数の無登録の銃器が出回っていると推測されている。銃器を使用した犯罪は後を絶たず、昨年発生した殺人事件のうち73%に銃器が使用されている。
ウ 4日、サッカーチームのペニャロールのリーグ優勝が決まったことを受け、セントロ地区では熱狂したファンによる騒動に発展し、商店や警察車両などが損壊される被害があったほか、22人の警察官が怪我をし、89人が逮捕された。また、同日、左派の過激派グループ「プレナリア・メモリア・イ・フスティシア」ら約300人が最高裁判所の窓を破壊するなどした。