ウルグアイ内政・外交:2月
1 概要
(1)内政
●農牧水産省,教育文化省及び住宅土地整備環境省においてそれぞれ次官の交代があった。
●11日,5月27日に開催される与党拡大戦線(FA)党党首選挙の公示が行われた。
●23日,与野党は,各校に権限や決定権の移譲を推進することを内容とする教育改革について合意に至った。
(2)外交
●27~29日,ジュネーブで開催された第19回人権理事会の場を利用して,アルマグロ外相はブラウン英国外務閣外相と会合し,フォークランド(マルビナス)諸島を巡る問題について改めてウルグアイの姿勢をアピール,英国による同地域への原子力潜水艦派遣の可能性に対し懸念を示した。
●13~17日,クレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣及び政府関係者は,戦略的協力分野における情報交換促進及び相互投資の強化等を通じた二国間関係の強化を継続していくため訪中した。
(3)社会
●11日,中国訪問のためクレイメル工業エネルギー鉱業大臣及び代表団が乗っていた
TAM航空便(モンテビデオ発,サンパウロ行き)がハイジャックされかけ,ブラジル・ポルトアレグレに臨時着陸したが,犯人は取り押さえられ大事には至らなかった。
2 内政
(1)政府及び議会の動き
ア 1日,ムヒカ大統領は,ボニージャ軍参謀総長の退役式を開催し,後任に,カステラ氏が就任した。
イ 1日,ガリン農牧水産次官に代わり,ベネッチ次官が就任した。
ウ 3日,シモン教育文化次官に代わり,ゴメス次官が就任した。
エ 6日,中央教育審議会(CODICEN)のウビジャ中等教育審議会総裁に代わり,与党拡大戦線(FA)党のティネット氏が同職務に就任した。
オ 9日,アルマグロ外務大臣とクレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣及びポルト経済財務次官は,国会常設委員会に召喚され,アルゼンチンによる輸入規制に関し,質疑応答を受けた。
カ 13日,パトロネ住宅土地整備環境次官に代わり,レトレゲル次官が就任した。
(2)教育関係
ア 23日,与野党は,今後,各校に権限や決定権の移譲を推進することを内容とする教育改革について合意に至った。本件合意は,重要課題に対する与野党間の歴史的な合意として受け取られている。共和国大学やCODICEN幹部もこれを肯定的であると評価した。24日,「ム」大統領は教職員労組と会合。労組は超党派による合意が自分たちの立場を代表していないとしてこれを拒絶した。
イ 28日,エルリッチ教育文化大臣,シオネCODICEN総裁及びロドリゲス国家開発庁(CND)総裁は,3月1日から開始される初等教育校授業のための教室の多くが未だに改修中であり,授業の開始が困難であることから,スポーツセンターや労組支部を暫定的に教室として利用することを発表した。
(3)労働関係
共和国銀行(BROU)労組(AEBU)は,超過勤務を理由に営業終了5分前に営業を停止したことで,カジョイア総裁とAEBU間で議論が起こり,4日間にわたり,ATMの機能等が一部停止した。政労使は,14日,労働社会保障省で会合,BROUとAEBUは本件解決のため,3月初旬を期限として設定,協議を進めることに合意した。
(4)FA党関係
ア 10日,ムヒカ大統領とFA党議員は2012年議会主要議題について協議した。その後,アストリ副大統領は,インフラ整備(道路網,ヌエバ・パルミラ港,モンテビデオの架橋)や教育問題の与野党間合意の具体化,さらに通信に関する法案作成を挙げる等,計55の法案リストを提出した。
イ 11日,5月27日に開催されるFA党党首及び執行役員選挙の公示が行われた。しかし,各派閥内では,党首選立候補者に関し意見の相違が見られる他,「ム」大統領が閣僚は同選挙のための候補者リストに入ることを差し控える旨要求する等,選挙実施方法自体がまだ決定していない。現在のところ,モニカ・ハビエル上院議員,エンリケ・ルビオ上院議員及びアレハンドロ・サバラ経済財務省経済局顧問(元モンテビデオ県庁官房長)の名前が有力候補者として挙がっており,各派閥間の争いが見られる。
ウ 27日,党執行部は3月17日及び24日にFA党総会を開催することを決定,5月27日の選挙方法等について協議する由。
(4)軍関係
22日,ウルグアイ空軍とウルグアイ技術専門学校(UTU)は,将来的に航空学を共同で運営していくことに合意。ウイドブロ国防大臣によると,本件は軍と教育機関の間で交わされる初の協定となる由。
(5)内務関係
ア 27日,マルドナード県ラス・ロサス刑務所が開所された。507名の囚人が収監されることとなる。
イ 国連の国際麻薬委員会は,ウルグアイが南米では3番目に麻薬の使用率が高いと発表。カネパ大統領府副長官は本件に関し,国連の報告は間違いである旨発言し,同委員会の報告書を非難した。
3 外交
(1)対日外交
14日,加藤外務大臣政務官がウルグアイを訪問,「ム」大統領等政府関係者と会談し,二国間関係強化について意見交換した。
(2)対アルゼンチン関係(経済関連については,経済の2月定期報告を参照)
ア 15日より,フォークランド(マルビナス)戦争の勃発30年を記念して,アルゼンチンTELAM通信社は100枚の写真からなる展示会を各地で開始した。
イ アルゼンチンは今後マルドナード県とロチャ県にそれぞれ領事館を開設することを発表した。
(3)対英国関係
ア 6日より,19名のウルグアイ人企業家からなる経済代表団(農業分野がメインであるが,遠距離通信関係者や電化製品等消耗品関係者等から構成)が,フォークランド(マルビナス)諸島を訪問し,ローカル牛肉起業や塩漬け場の視察の他,農業生産グループとの会合等を行った。
イ 27~29日,ジュネーブで開催された第19回人権理事会の場を利用して,アルマグロ外相はブラウン英国外務閣外相と会合し,フォークランド(マルビナス)諸島を巡る問題について改めてウルグアイの姿勢をアピール,英国による同地域への核潜水艦派遣の可能性に対し懸念を示した。ブラウン外相は,ウルグアイによる国連平和維持軍(PKO)における貢献のほか,人権理事会及び水銀関連条約での議長国就任によるリーダーシップを称賛した。
(4)対中国関係
13~17日,クレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣及び外務省アヤラ経済総局局長,工業エネルギー鉱業省トレス工業局長,メンデス同省エネルギー局長等,政府関係者が戦略的協力分野における情報交換促進及び相互投資の強化等を通じた二国間関係の強化を主要目的として訪中した。同代表団は,当国に自動車工場建設を計画予定のLifan社の社長と会合を持った他,北京ではウェイ産業情報技術大臣と会見した。
(5)対国際機関関係
ア 2日,モンテビデオ県ラテンアメリカ統合連合(ALADI)本部においてソト・パナマ外務次官及びアルバレスALADI事務総長の出席のもと,パナマはALADIの加盟国として承認された。
イ 13~17日,国連水と衛生に関する特別報告者が当国を訪問し,水や衛生サービスへのアクセスに関し,ウルグ
アイの施策等について調査した。調査報告によると,98%の国民が飲料水及び衛生設備にアクセスがある一方で,低所得者層は,未だに右発展から除外されているとし,同層の人々への基本的権利へのアクセスを確保することの重要性を訴えた。
(6)その他
ア ウルグアイ外務省は外交官の更なる資質向上のためのコースを開設することを決定した。
イ 14~17日,モレノ・エクアドル外務次官がウルグアイを訪問し,アストリ副大統領と会見した他,身体障害者人口装具研究所を訪問,社会開発省とは身体障害者に対する理解の覚え書きに署名した。
ウ 23日,スペインのグラシア国際協力・イベロアメリカ担当長官がウルグアイを訪問し,同国のウルグアイにおける国際協力重点分野について関係者と協議した。
エ 27日,フェラーリ・メキシコ経済大臣がウルグアイを訪問し,ロレンソ経済財務大臣やオルトゥニョ工業エネルギー鉱業次官と会合し,二国間が有する自由貿易協定の重要さについて再確認した他,今後の二国間関係についても協議した。
4 社会
(1)治安
ア モンテビデオ県及びその周辺の刑務所において,受刑者の所持品検査を実施(昨年中,コムカル刑務所で199回,リベルタ刑務所で35回,プンタ・デ・リエレス刑務所で32回)し,けん銃,ナイフ,携帯電話,麻薬等が発見されており,当局は,受刑者の管理を一層強化することとしている。
イ 9日,モンテビデオ県第3警察署の幹部を含む4人が恐喝容疑で逮捕され,同県警本部長は,警察組織の清浄化へ向けた取り組みを一層強化すると述べた。さらに,16日,モンテビデオ県警本部及びタクワレンボ県警本部の副本部長が,BROU銀行の222サービス料を不正に受け取っていたとして更迭された。
ウ ブラジルの法務大臣は,ワールドカップやオリンピックの開催が予定されており,ブラジル国内において大規模な取り締まり活動を行っており,追いやられた犯罪者はファベーラからウルグアイに入る可能性があると発言した。ウルグアイ政府は,ブラジル及び周辺諸国へ警察官を派遣して情報を収集することとしている。
(2)11日,中国訪問のためクレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣及び代表団が乗っていたTAM航空便(モンテビデオ発,サンパウロ行き)がハイジャックされかけ,ブラジル・ポルトアレグレに臨時着陸したが,犯人は取り押さえられ,大事には至らなかった。