(1)内政
●ラプラタ川管理委員会のガビト委員が、マルティン・ガルシア運河浚渫に関して政府の対応を厳しく批判し、CARPにおける交渉内容を外部に漏らしたことから、政府は同委員を更迭した。
●各種世論調査結果が公表され、下落傾向にあったムヒカ大統領及び与党FAの支持率がともに若干回復した。
(2)外交
●ムヒカ大統領はメルコスール首脳会合に出席し、ウルグアイは同議長国に就任した。
●アストリ副大統領はメキシコ大統領就任式に出席した。
(3)社会
●Cifra社がマリファナ合法化案に関する世論調査結果を公表し、反対64%、賛成26%との結果が出た。
●銃の登録状況が発表された。現在の登録総数は58万4112丁となり、未登録銃を含むと国民の3人に1人が銃を所持していると考えられている。
2 内政
(1)政府、議会及び与党FAの動向
ア 3日、マルティン・ガルシア運河浚渫に関して、ラプラタ川管理委員会(CARP)のフアン・ガビト委員(国民党)が政府のCARPにおける対応を厳しく批判し、またCARPにおける交渉内容を外部に漏らしたことから、4日、政府は同委員を更迭した。これに対して国民党は21日にアルマグロ外相を上院に召喚し、本件経緯に関する詳細な説明を求めた。
イ 3日、キリスト教民主党創設50周年記念大会が開催され、キリスト教民主党インターナショナル理事を務めるレスカノ前観光スポーツ相やバスケス前大統領らが出席した。
ウ 4日、11月5日に退官したグティエレス最高裁長官の後任として、フリオ・セサル・チャラール新長官が就任した。
エ 8日、プルナ社所有の航空機競売問題を巡り、国民党がカロイア共和国銀行総裁に対して辞任を迫ったところ、ムヒカ大統領が「カロイア総裁に辞めろと騒ぐ暇があれば、自分の奥さんが好き勝手しないようにコントロールしたらどうか」と発言し、野党のみならず与党FA内部からも批判が噴出した。翌9日、ムヒカ大統領は声明を発出して謝罪した。
オ 19日、議会は国連食糧農業機関(FAO)の「不法、無報告、無規制(IUU)漁業の防止・阻止・排除のための入港国措置に関する協定」を承認し、ウルグアイはEU、ノルウェーに次いで世界で3番目に同協定を批准することとなった。
カ 31日、スサナ・ダルマス上院議員(FA:アサンブレア・ウルグアイ)が脳溢血のため入院中のモンテビデオ市内の病院で亡くなった。
(2)世論調査等結果
ア 5日、トランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数(CPI)2012年版が公表され、ウルグアイは176カ国中20位(上位ほど腐敗度が低い)とラテンアメリカではチリと並んで最高位にランクインした。
イ 11日、Factum社が支持政党に関する世論調査結果を公表し、FA42%、国民党24%、コロラド党16%、独立党2%等となった。
ウ 11日、Factum社が大統領候補支持率に関する世論調査結果を公表し、バスケス前大統領(FA)44%、ララニャガ上院議員(国民党)24%、ボルダベリ上院議員(コロラド党)18%、ミエレス独立党総裁4%等との結果になった。
エ 12日、Cifra社がムヒカ大統領への評価に関する世論調査結果を公表し、政策を「評価する」との回答が40%、ムヒカ大統領に「親しみを感じる」との回答が50%となり、前回より若干評価が上昇した。
オ 13日、Cifra社が政党支持率に関する世論調査結果を公表し、FA42%、国民党22%、コロラド党17%、独立党2%等となり、数カ月ぶりにFAが野党合計を上回った。
(3)軍政期の人権弾圧問題
6日、1976年にロチャの海岸にて発見された遺体の身元が、同年にブエノスアイレスでアルゼンチン当局により逮捕された後に行方不明となっていた当時20歳のアルゼンチン人女性であることがDNA鑑定の結果判明した。
3 外交
(1)ムヒカ大統領のメルコスール首脳会合出席
7日及び8日、ムヒカ大統領はブラジリアで開催されたメルコスール首脳会合に出席した。また、今回の会合でウルグアイは議長国に就任した。
(2)ブラジルとの二国間首脳会談
7日、メルコスール首脳会合出席のためブラジリアを訪問中のムヒカ大統領は、ルセーフ・ブラジル大統領と会談した。両首脳は二国間ハイレベル・グループの活動成果を確認し、会談終了後に「ブラジル・ウルグアイ間の持続可能な開発及び統合のための行動計画」と題された共同コミュニケを発出した。
(3)アストリ副大統領のメキシコ訪問
11月30日~12月2日、アストリ副大統領はメキシコを訪問し、同国のエンリケ・ペニャ・ニエト大統領の就任式にウルグアイ政府代表として出席した。1日の就任式典終了後には同大統領及びメアデ同国外相と会談し、2013年1月23日及び24日に予定される同大統領のウルグアイ訪問等に関して話し合った。また、30日には同じくメキシコ訪問中の金滉植・韓国首相と会談を行った。
(4)対アルゼンチン関係
6日、ウルグアイとアルゼンチンは軍政期の人権弾圧問題調査に関する情報交換を目的とする覚書に署名した。ウルグアイは既にメルコスール加盟各国、チリ及びボリビアとの間で情報交換を進めているが、今回の覚書は一連の取り組みを一層強化するものとなることが期待されている。
(5)対米国関係
11日及び12日、モンテビデオで米国との二国間国防協定改正に関する第一回会合が開催された。
(6)バス駐チリ大使が急死
6日、ペドロ・バス駐チリ大使(前外相)がチリ・サンティアゴの自宅で亡くなっているところを発見された。FA(社会党)所属のバス大使は、駐ブラジル大使や外務次官を歴任後、バスケス政権期の2009年8月から2010年3月まで外相を務め、2010年3月の現政権発足より駐チリ大使を務めていた。
(7)その他要人往来
ア 1日~9日、シャビエル総裁率いる与党FAの議員11名が中国を訪問した。今回の訪問は中国共産党の招待によるものであり、滞在中には多くの同党関係者らと会談を行った。
イ 2日~6日、国連人権理事会の拷問に関する特別報告官フアン・メンデスがウルグアイを訪問し、刑務所・少年院施設等の状況を視察した。
ウ 3日~6日、エルサルバドルのサルバドル・サンチェス副大統領がウルグアイを訪問し、ムヒカ大統領やアストリ副大統領らと会談した。
エ 7日、イランのAli Asghar Khaji外務副大臣(米州・欧州担当)がウルグアイを訪問し、コンデ外務次官やオリコ下院議長らと会談した。
オ 10日、チリのカミロ・エスカローナ上院議長がウルグアイを訪問し、アストリ副大統領、アルマグロ外相、トポランスキー上院議員、オリコ下院議長らと会談した。
カ 11日、ブラジルのアウド・ヘベロ・スポーツ次官がウルグアイを訪問し、ケチチアン観光スポーツ相とともに二国間のスポーツ協力に関する協定に署名した。本協定は、2014年サッカーブラジルW杯及び2016年リオ・デ・ジャネイロ五輪に向けた両国選手団の交流強化を目的としている。
4 社会
(1)治安
ア 政府が掲げた治安対策であるマリファナ合法化案について、Cifra社がアンケート調査(11月29日から12月6日に実施)を行ったところ、反対64%、賛成26%という結果になり、政府が6月に実施したアンケートと同様の結果となった。反対している割合を支持政党別にみると、FA53%、国民党83%、コロラド党82%であり、年齢別に見ると年齢が高くなるほど反対の割合が高くなる結果となった。この結果を受け、ムヒカ大統領は、国民の理解が得られるまで法案審議を進めないようFA各議員に指示した。
イ 銃の登録状況が発表された。本年は、12月17日までに5395丁の銃が登録されており、このうち約3400丁が一般人(警備員含む)であり、1日10丁のペースで登録されている。現在の登録総数は58万4112丁であり、このうち一般人(警備員含む)の登録は約52万丁となっている。このほかにほぼ同数の未登録銃が出回っており、国民の3人に1人が銃を所持していると考えられている。