(1)内政
●ブレチア大統領府長官の後任として、オメロ・ゲレロ新長官が就任した。
●次期大統領選挙に先立つ各党統一候補選挙が2014年6月1日に実施されることになった。
(2)外交
●ムヒカ大統領は第6回UNASUR首脳会合に出席した。
●アルマグロ外相はムヒカ大統領の代理として第22回イベロアメリカサミットに出席した
●アルマグロ外相が日本を公式訪問し、玄葉外務大臣と会談した。両外相は、二国間投資協定の正式交渉を開始することで合意した。
(3)社会
●銃、マリファナ、携帯電話の調達を巡り、刑務所における刑務官の賄賂の受け取りが過去2カ月間で5人確認された。
●フンダプロ(コロラド党関係財団)が独自に調査した殺人統計を発表し、その内容を巡り政府との間で激しい議論が繰り広げられた。
2 内政
(1)ゲレロ大統領府長官の就任
1日、健康上の理由から辞任したブレチア大統領府長官の後任として、オメロ・ゲレロ新長官が就任した。現政権での閣僚交代は今回が6人目。
(2)政府、議会及び与党FAの動向
ア 6日、上院は次期大統領選挙に先立つ各党統一候補選挙を2014年6月1日(6月第1日曜日)に実施する法案を可決した。現行法では党統一候補選挙は6月最終日曜日に実施される旨規定されているが、2014年6月13日から同7月13日までサッカーのW杯ブラジル大会が開催されることから、今回特例措置を採ったもの。
イ 24日、与党FAは全国総会を開催し、次期大統領選挙を見据えた今後1年間の政策プランを決定した。政策プランは富の再分配と社会的統合、地方行政の強化等、10の主要項目により構成されており、段階別の行動計画として2013年2月までの第1ステップ、同9月までの第2ステップ及び同12月までの第3ステップに分けられている。また、2011年8月にいわゆる「失効法」の無効化法案に反対票を投じたセンプローニ下院議員に対して、60日間の党活動参加停止が決定された。
(3)世論調査結果
ア 12日、Cifra社が支持政党に関する世論調査結果を公表し、FA36%、国民党20%、コロラド党17%等となった。本年2月から連続で低下していた与党FA支持率は漸く下落が止まったものの、前回(本年9月)に引き続き、野党が合計(40%)でFA党の支持率を上回る結果となった。
イ 12日、Cifra社がムヒカ大統領への評価に関する世論調査結果を公表し、政策を「評価する」との回答が36%、「評価しない」との回答が38%となり、「評価しない」が「評価する」を2ポイント上回る結果となった。また、ムヒカ大統領に「親しみを感じる」との回答が46%、「嫌悪を感じる」との回答が29%となった。
(4)軍政期の人権弾圧問題
15日、1976年にロチャの海岸にて発見された遺体の身元が、同年にブエノスアイレスでアルゼンチン当局により逮捕された後に行方不明となっていた当時23歳のチリ人男性であることがDNA鑑定の結果判明した。
3 外交
(1)ムヒカ大統領の第6回UNASUR首脳会合出席
30日、ムヒカ大統領は、ペルーのリマにおいて開催された第6回南米諸国連合(UNASUR)首脳会合に出席した。また、アルマグロ外相は29日に開催された外相会合に出席した。
(2)アルマグロ外相の第22回イベロアメリカサミット出席
16日及び17日、アルマグロ外相は健康上の理由から出席を取りやめたムヒカ大統領に代わり、スペインのカディスで開催された第22回イベロアメリカサミットに出席した。
(3)アストリ副大統領のベトナム及びシンガポール訪問
ア 5日~8日、アストリ副大統領はベトナムを訪問し、チュオン・タン・サン国家主席、グエン・ティ・ゾアン国家副主席、グエン・シン・フン国会議長らと会談した。また、二重課税防止協定の交渉を開始することが合意された。
イ 8日~10日、アストリ副大統領はウルグアイ要人初のシンガポール公式訪問を行い、ターマン・シャンムガラトナム副首相と会談した。また、投資協定及び二重課税防止協定の交渉を開始することが合意された。
(4)アルマグロ外相の日本公式訪問
ア 7日~10日、アルマグロ外相は外務省賓客として日本を公式訪問し、玄葉外務大臣と会談した。両外相は、二国間投資協定の正式交渉を開始することで合意したほか、2013年に水銀条約を「水俣条約」として成立させるべく両国間で協力していくことで一致した。
イ アルマグロ外相はまた、郡司農林水産大臣、松宮経産副大臣、横尾JETRO副理事長、中村日本商工会議所専務理事、鎌田早稲田大学総長らと会談したほか、米州開発銀行(IDB)アジア事務所において開催されたウルグアイ・ビジネスセミナーに出席した。
(5)対アルゼンチン関係
ア 2日、外務省は、ラ・プラタ川管理委員会(CARP)のブスティージョ代表が駐スペイン大使に就任したことを受け、後任にコンケ外務省官房長が就任すると発表した(官房長と兼任)。
イ 16日、アルゼンチンのブエノスアイレスにおいて第2回国防に関するウルグアイ・アルゼンチン二国間対話委員会が開催され、メネンデス国防次官が出席した。会合では、アルゼンチン及びブラジルによる地域内国防協力へのイニシアティブにウルグアイが参加することが合意された。これには、現在アルゼンチンにおいてブラジルの協力のもと製造中の国境監視用車両「ガウチョ」の走行テストの実施等が含まれる。
ウ 20日、マルティン・ガルシア運河浚渫事業の入札を巡り汚職があったとしてアルゼンチン法廷が司法共助要請を行っていた件に関し、組織犯罪裁判所は同要請を拒否する旨発表した。
(6)対ブラジル関係
12日(於:ブラジリア)及び27日(於:リオ・デ・ジャネイロ)に、ブラジルとの物品・サービスの自由な移動及び生産統合に関するサブワーキンググループ会合が開催された。
(7)対メルコスール関係
ア 27日、ピンタド運輸公共事業相は、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された第2回域内港湾関係者会合に出席し、メルコスールの出資による域内ロジスティックセンターの創設を提案した。
イ 30日、ブレンタ労働社会保障相は、ブラジルのポルト・アレグレにおいて開催されたメルコスール労働大臣会合に出席した。
(8)対中国関係
1日~10日、フルゴニ予算企画庁(OPP)長官、ジェンタ運輸公共事業次官、ブオノモ大統領顧問らがロチャ深水港建設計画につき話し合うため中国を訪問し、張暁強・中国国家発展改革委員会(NDRC)副主任らと会談した。
(9)その他要人往来
ア 7日、マリア・イサベル・ロドリゲス・エルサルバドル厚生相がウルグアイを訪問し、ムヒカ大統領と会談した。
イ 10日、オレスケル社会開発相はペルーを訪問し、カロリーナ・トリベリ・ペルー開発社会包摂相と会談した。
ウ 15日、ロジェリオ・シエラ・キューバ外務副大臣がウルグアイを訪問し、アルマグロ外相と会談したほか、第6回ウルグアイ・キューバ政策協議メカニズム会合に出席した。
エ 15日、オリコ下院議長率いる議員団がアルメニアに滞在中、ナゴルノ・カラバフ地域を訪問し、アゼルバイジャン政府がウルグアイ政府に説明を求める事件が発生した。
オ 28日、ベネッチ農牧水産省次官はボリビアを訪問し、ラパスにおいて開催されたバイオセキュリティに関するフォーラムに出席した。
カ 28日、ムヒカ大統領は、公演のためウルグアイ訪問中のキューバ人歌手シルビオ・ロドリゲスと会談した。
(10)対国際機関関係
ア 12日~17日、韓国のソウルで世界保健機関(WHO)「たばこ規制枠組み条約」第5回締約国会議が開催され、ベネガス厚生相らが出席した。
イ 13日、米州気候変動研究所(IAI)本部がモンテビデオに設置されることが決定し、署名式にはアルマグロ外相、バルトラメ住宅土地整備環境相らが出席した。
4 社会
(1)治安
ア 過去2カ月間で刑務所における刑務官の賄賂の受け取りが5人確認された。銃について1200~1300ドル、マリファナについて1500~1万ペソ、携帯電話について2000ペソの賄賂が渡されていた。現在、刑務所には9947人が収容されており、うち6268人が未決拘留者となっている。
イ フンダプロ(コロラド党関係財団)は殺人の統計について、1999年から2005年まで(コロラド党政権時)の殺人数は10万人当たり5.7人から7.0人だったのに対し、本年は9人になっていると発表した。ボノミ内相は報復やドメスティック・バイオレンスによる殺人が増加してきていることを強調しているが、最も多い殺人は強盗事件によるものだと指摘している。これに対し、ボノミ内相は同団体の発表は政治的意図があるとして反論している