(1)内政
●政府は、ブレチア大統領府長官が健康上の理由から辞任し、後任にオメロ・ゲレロ公務員人事庁(ONSC)長官が11月1日付で就任すると発表した。
●議会は中絶合法化法案を可決した。同法施行により、ウルグアイは中南米で3番目に中絶を合法化する国となる。
(2)外交
●ムヒカ大統領はペルーのリマにおいて開催された第3回南米アラブ諸国首脳会議(ASPA)に出席した。
●プンタ・デル・エステにおいて第10回米州国防大臣会合が開催された。
●ブラジルとの物品・サービスの自由な移動に関する二国間サブワーキンググループの創設が決定された。
(3)社会
●8月末現在、1078件の家畜盗難事件が発生(昨年同期:1381件)しており、牛に比べ羊の被害が多くなっている。
●殺人事件が増加傾向にあり、中でも麻薬関連の報復によるものが多くなっている。ラテンアメリカは他地域に比べ麻薬の取引額が安価なことから、主にパラグアイから密輸された麻薬がウルグアイを経由してヨーロッパに密輸されている事例もある。
2 内政
(1)大統領府長官の交代
24日、政府はブレチア大統領府長官が健康上の理由から辞任し、後任にオメロ・ゲレロ公務員人事庁(ONSC)長官が11月1日付で就任すると発表した。現政権での閣僚交代は今回が6人目。
(2)政府、議会及び与党FAの動向
ア 16日、国家教育局(ANEP)中央教育審議会(CODICEN)の会長にウィルソン・ネット専門技術教育審議会(CETP)ウルグアイ労働大学(UTU)学長が就任した。また、同理事にハビエル・ランドーニCETP・UTU理事が就任した。
イ 17日、上院は賛成17票、反対14票で中絶合法化法案を可決し、同法案の議会承認プロセスが終了した。同法施行により、ウルグアイはキューバ及びガイアナに続き中南米で3番目に中絶を合法化する国となる。
ウ 27日及び28日、FAセレグニ戦線のNuevo Espacioが派閥総会を開催し、本格的な政界復帰が噂されるバスケス前大統領も出席した。
(3)野党の動向
ア 16日、国民党執行部は、次期地方統一選挙において憲法改正を通じた知事選決選投票制度を導入しようとするコロラド党の提案を拒否すると発表した。ただし、モンテビデオ県を始めとする重要な県知事ポストの奪取のために、コロラド党との選挙協力を実施することについては改めて前向きな姿勢を表明した。
イ 18日、コロラド党のPropuesta BatllistaとUruguay es Posibleは、同党最大会派であるボルダベリ上院議員率いるVamos Uruguayに対抗するため、新たな党内グループBatllista de Leyを立ち上げ、次期大統領選に向けてバジスモ統一候補を擁立することを発表した。
(4)世論調査結果
ア 2日、Factum 社が政府の政策への評価に関する世論調査結果を公表し、政策の方向性が正しいとの回答が65%、正しくないとの回答が31%となった。他方、実際の政策運営に関しては、「評価する」が17%、「評価しない」が79%となり、政策自体は間違っていないとしつつ、その実行能力に対して厳しい評価が下される結果となった。
イ 20日、Factum社がFA党内派閥別支持率に関する世論調査結果を公表し、セレグニ戦線(Asamblea Uruguay、Nuevo Espacio、Alianza Progresista)が10%、Espacio 90(社会党他)が10%、Espacio 609(MPP他)が7%、Vertiente Artiguista・リスト5005が3%、リスト1001(共産党他)が2%、リスト711が1%、その他が2%となり、アストリ副大統領率いるセレグニ戦線とシャビエル総裁率いるEspacio 90が、ムヒカ大統領の出身派閥であり最大会派のMPPを各々上回る結果となった。
(5)軍政期の人権弾圧問題
4日、軍政下のチリにおいて1973年9月及び10月に5名のウルグアイ人が逮捕・行方不明となった事件に関し、同国法廷はマヌエル・コントレーラス元国家情報局(DINA)長官(1995年より収監中)を含む8名に対して6年~10年の拘置を言い渡した。
3 外交
(1)ムヒカ大統領の第3回南米アラブ諸国首脳会議(ASPA)出席
1日及び2日、ムヒカ大統領はペルーのリマにおいて開催された第3回南米アラブ諸国首脳会議(ASPA)に出席した。リマ滞在中、ムヒカ大統領はウマラ・ペルー大統領と会談したほか、ASPA民主主義移管プロセスに関するハイレベル会合においてマルズーキ・チュニジア大統領とともに発表者を務めた。今回の訪問には、アルマグロ外相、センディック燃料アルコールセメント公社(ANCAP)総裁らも同行した。
(2)第10回米州国防大臣会合の開催
8日~10日、プンタ・デル・エステにおいて第10回米州国防大臣会合が開催され、参加閣僚は23の項目により構成される最終宣言文書に署名した。また、ムヒカ大統領は8日にパネッタ米国国防相と会談を行い、両者は1952年に締結した二国間国防協定の改正作業を進めていくことで合意した。会談には、ウイドブロ国防相、アルマグロ外相らも同席した。さらに、ムヒカ大統領はアモリン伯国防相とも会談を行った。
(3)対アルゼンチン関係
ア 2日、ガーナのテマ港に停泊中のアルゼンチン海軍練習帆船リベルタ号が、アルゼンチン国債償還を求める投資ファンドの訴えに基づいたガーナ裁判所の拘留命令により同港に留め置かれる事態が発生した。同船には8名のウルグアイ海軍士官候補生も乗船していたが、これらウルグアイ人を含む281名の一般乗員は22日に解放された。
イ 8日、アルゼンチンはマルドナード県に同国領事館を開設した。同県には、プンタ・デル・エステを中心に約1万~1万5千人のアルゼンチン人が居住しているといわれている。
ウ 18日、ムヒカ大統領はアルゼンチンを訪問し、同国のラ・プラタ国立大学より名誉博士号を授与された。
(4)対ブラジル関係
ア 5日、アルマグロ外相はブラジルを訪問し、パトリオタ伯外相と会談した。両外相は、二国間ハイレベルグループの進捗状況を確認し、特に物品・サービスの自由な移動に関してサブワーキンググループを立ち上げることを決定した。
イ 25日及び26日、モンテビデオにおいてブラジルとの物品・サービスの自由な移動及び生産統合に関するサブワーキンググループ第1回会合が開催された。
(5)対ニカラグア関係
9日、外務省は1993年5月に閉鎖した在ニカラグア大使館を再開すると発表した。
(6)対アフリカ関係
9日、外務省はエジプト、南アフリカに続くアフリカ第三の大使館をアンゴラに開設すると発表した。また、2013年前半にはアルマグロ外相が民間代表団とともに同国を訪問するとも明らかにした。
(7)その他要人往来
ア 5日~7日、ミッシェル・スレイマン・レバノン大統領がウルグアイを訪問し、ムヒカ大統領、アストリ副大統領らと会談した。ウルグアイには約5万人のレバノン系住民が居住しているといわれている。レバノン大統領のウルグアイ訪問は今回が二度目。
イ フランク・ラ・ルー国連表現の自由の権利に関する特別報告者がウルグアイを訪問し、第2回マルドナード国際フォーラムに出席したほか、アルマグロ外相、エルリッチ教育文化相、クレイメルマン経済財務相らと会談した。
ウ 17日及び18日、ポルト経済財務次官は中国の杭州で開催された第6回中国ラテンアメリカ・カリブ経済サミットに出席した。
エ 17日、ジャン=リュック・メランション欧州議員(フランス左翼党共同党首)がウルグアイを訪問し、ムヒカ大統領と会談した。
(8)対国際機関関係
ア 13日及び14日にコンゴ民主共和国のキンシャサにおいて開催された第14回フランコフォニー国際機関首脳会合において、ウルグアイのオブザーバー加盟が承認された。南米諸国の同機関オブザーバー加盟はウルグアイが初。
イ 14日、ウルグアイは外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)に加盟した。
ウ 25日、モンテビデオにおいて、南米諸国連合(UNASUR)食糧安全保障及び飢餓・栄養不良との戦いに関する第2回グループ会合が開催された。
エ 国連ハイチ安定化ミッションに参加中のウルグアイ軍兵士が休暇中にドミニカ共和国において「不適切な振る舞い」を行ったとする訴えがドミニカ共和国から国連に対してなされた。外務省及び国防省は25日にコミュニケを発出し、本件事実関係につき詳細な調査を実施し然るべき対応をとると発表した。
4 社会
(1)治安
ア 8月末現在、1078件の家畜盗難事件が発生しているが、昨年同期の1381件からは減少した。県別では、カネロネス県が256件、リベラ県が119件、パイサンドゥ県が86件の発生となっている。また、牛に比べ羊の被害が多い。
イ 本年は殺人事件が増加傾向にあり、中でも麻薬関連の報復によるものが多い。また、麻薬中毒者が、殺し屋として雇われるという事案もある。ラテンアメリカではコカイン1キロ当たり1800ドル~7500ドルで取引されているのに対し、ヨーロッパでは3万5000ドル~9万ドル、アジア・オセアニアでは9万ドル~20万ドル、米国では20万ドルと高値で取引されており、ウルグアイを経由してヨーロッパに密輸されている事例もある。ウルグアイへは、パラグアイからの密輸が多い。
ウ 16日夜間、在ウルグアイ・レバノン大使館が事務所荒らしの被害を受けた。現金20万ペソ、パスポートなどの入った重さ100キロ以上の金庫を奪われたほか、備え付けの金庫のドアをバーナーで溶かすなどされ、在中品が奪われた。