ウルグアイ経済報告(9月分)
1.経済概要
(1)本年第二四半期の季節調整済みGDPは第一四半期より0.5%増加、6月までの1年間で4.8%の増加となった。また8月の財政赤字は前月より0.2ポイント低下し、1.1%となった。9月の為替はブラジルのレアルにほぼ連動する形で推移し、1ドル18.7ペソ台から20.4ペソ台で推移した。
(2)8月のインフレ率は7.57%となった。政府は本年のインフレ率は7.8%となると予測している。他方、29日、通貨政策委員会は、政策金利8%の据え置きを発表した。
(3)ア 国際市場の不確実性が高まる中、政府は、競争力が低い産業への税還付までの期限を短縮することを発表した。また、経済関係者は、今後、ウルグアイの輸出が減少する可能性もあるが、新興国に流入している投資がウルグアイにも入る可能性があることを指摘している。
イ 他方、ウルグアイはブラジルの為替やインフレの変動に連動しており、国際市場の不確実性がブラジルや中国に及び、両国が保護主義的な政策を採用すれば、ウルグアイにも影響が及ぶであろうとウルグアイも今後ブラジルに追随して通貨政策を転換すると共に、財政赤字削減に努めるべきであるとの発言も見られた。
(4)1-9月の輸出額は60億8,200万ドルで前年同期比21%増加。冷凍牛肉、米等がブラジル、アルゼンチン、中国、ロシア等に輸出された。
輸入額は62億8,000万ドルで前年同期比30%増加。自動車部品、バス・トラック等が輸入された。輸入先国は全体の40%がアルゼンチンやブラジル等メルコスール諸国、16%が中国であった。また、乳製品の輸出額も増加しており、51%がブラジルに輸出された。
(5)7月の失業率は6.2%。8月の名目賃金指数は1年間で14.31%上昇した。公共サービス部門・交通労組・公務員組合・保険組合等がストライキを実施した。
(6)エネルギー関連では、今後、石油探査事業の入札が実施される他、エタノール生産工場の建設も検討されている。また、インフラ部門では、ヌエバ・パルミラ港関連事業が検討されている他、モンテビデオ港の埠頭建設事業が開始されることとなった。その他インフラ事業では、政府はコンベンションセンターの建設、高速道路の補修、刑務所建設等を優先事業に挙げている。
(7)アルゼンチンとの関係では、本年初旬よりアルゼンチンが講じている輸入のための特別手続きによりウルグアイ企業にも影響が出ている他、ブラジルとの関係では、ブラジルによる自動車部門における工業製品税引き上げ措置に対し、交渉の結果、ウルグアイからの自動車輸出については工業製品税引き上げの対象外とされることとなった。
2.主要経済指標等
(1)GDP
ア 2010年の経済成長率は8.5%であったが、中銀によると、本年第二四半期の季節調整済みGDPは第一四半期より0.5%増加した。また6月までの1年間では4.8%の増加となった。
イ 生産面では、前年同期比で運輸・保管・通信分野が11.1%増加、商業・修理・レストラン・ホテル分野は自動車及び輸入品販売の増加により2.9%増加した。
ウ 支出面では、最終消費の増加(8.6%)及び総固定資本形成の増加(6.2%)により、内需が11.9%拡大した。最終消費の増加は、民間最終消費支出増加(9.4%)及び政府消費支出(3.1%)によるものであった。総固定資本形成では、民間投資増加(10.2%)による機械・部品への投資が増加したが、公的セクターの投資は、運輸公共事業省及び国営企業による建設事業への投資の減少により、7.2%減少した。
(2)財政赤字
経済財務省によると、8月の財政赤字は、前月のGDP比1.3%より0.2ポイント減少し、1.1%となった。8月の公的セクター(非金融機関)の歳入は、GDP比28.2%となり、前月比0.1%減少した。歳出は前月比0.2%増加し、GDP比24.1%となった。公的セクターの歳入減少は、国営燃料・アルコール・セメント公社(ANCAP)による石油及び派生品の購入の減少が一因となっている。
(3)公的債務
第二四半期の公的債務総額は18億4,400万ドル増加し、259億8,200万ドル、総額でGDP比59.4%に達した。為替の変動が増加の一因となっている。
(4)為替
9月はブラジルのレアルにほぼ連動する形で推移。1ドル平均19.573ペソで、18.7ペソ台から20.4ペソ台で推移した。
(5)政策金利
30日付各紙報道によると、29日、通貨政策委員会は、国際市場の不確実性を前に、政府が設定するインフレ枠内(4%-6%)よりも高い現在の7.5%のインフレ率が懸念事項であるとしながらも、競争力及び経済成長も中期的な優先事項とするべきであるとして、政策金利8%の据え置きを決定した。
(6)消費者物価指数
ア 国家統計院によると、8月の消費者物価指数は、前月比0.56%増加、8月までの1年間で7.57%増加し、前月の8.61%から減少した。分野別に見ると、レストラン・ホテルが1年間で12.93%増加した他、教育関連が10.37%増加、住宅関連が10.5%増加した。また、家具・生活用品等は7.87%増加、食品・ノンアルコール飲料は7.75%増加、保健関連は7.24%増加した。その他、交通は5.7%増加、アルコール・タバコ等は2.6%増加した。
イ 政府は、本年のインフレ率は7.8%、2012年は6.3%、2013年は5.6%となると予測している。
(7)直接投資
ア 投資法適用委員会によると、本年前半の直接投資案件数は498件、額にして13億3,300万ドルとなった。全案件の内256件がモンテビデオの案件。また、2010年は前半が242件、後半が341件であり、本年前半の投資案件数は急増している。また分野別に見ると、3億5,000万ドルが商業向け、3億3,800万ドルが製造業、1億5,900万ドルが観光・ホテル・レストラン向けであった。
イ 本年前半の外国からの直接投資は、10億2,010万ドルとなり、前年同期比4.2%減少した。他方、本年第二四半期の投資額は、5億3,840万ドルとなり、第一四半期の4億8,170万ドルから増加した。
(8)製造工業生産指数
ア ウルグアイ工業協会によると、本年第二四半期の製造工業生産指数(石油・石油派生品除く)は、前年同期比3.6%増加した。Pepsi及びUPM社を除いた指数は4.2%増加となった。食品・飲料・タバコは0.6%減少となったが、その内訳を見ると乳製品及び関連品が25.5%増加する一方、牛の屠殺数は13%減少した。また、ノン・アルコール飲料は14.4%減少、ビール・麦芽生産も8%減少した。
イ また、基礎金属・非金属工業品が12.5%と最も増加した他、金属・機械・部品等が11.2%増加、繊維・衣服・皮革は10.9%増加、化学・プラスチックは4.3%増加、木材・紙・印刷は2.7%増加した。
3.国際市場の不確実性に対する政府の対応・今後のウルグアイ経済についての経済関係者等の発言等
(1)政府の対応
5日、政府は漁業・繊維・皮革産業等、競争力の低い産業への税還付期限をこれまでの10ヶ月から2ヶ月以内に短縮する政令を発出した。
(2)ウルグアイ投資促進機関UruguayXXIビジャミル所長の発言
欧米の金融不安を受け、ウルグアイでは輸出が減少する可能性もあるが、先進国の不安定な状況を回避し、新興国に流れ込んでいる投資が当国にも流れ込む可能性がある。ウルグアイは先進国には見られない安定性があり、外国の投資が流入していると述べた。
(3)プロタス元中銀総裁の発言(7日付「ラ・レプブリカ」紙)
最近当国は為替の変動幅が大きいが、この背景には、国際市場の不確実性及びブラジルの影響がある。先月ブラジル政府は政策金利を引き下げたが、ウルグアイもブラジルに追随して政策を転換し、ペソの安値への誘導を行うと共に、財政赤字削減に努めるべきである。
(4)コンサルタント会社CPA/FERRERE社エコノミスト(今月7日に開催された、民間建設促進協会主催の「ウルグアイの対外的ショックへの準備」と題する講演会での発言)
ア ウルグアイはブラジルの為替やインフレの変動に連動しているので、ブラジルの動向に左右されており、今後、国際市場の不確実性が高まると、中国やブラジルにも影響が及ぶおそれがあり、中国やブラジルに影響が及び、両国が保護主義的政策を採用すれば、ウルグアイにも影響が及ぶだろう。
イ 今後数ヶ月は「通貨戦争」の影響を受け、ウルグアイの経済状況は変化しやすくなるだろう。
(5)ヘヌア・アンデス開発公社(CAF)所長(5日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)
ア ウルグアイはラ米諸国の中で相対的に、国際経済危機への備えが出来ている国である。また富の再分配の観点からは不均衡も少なく、労働者が保護されている。特に社会保障システム・保健システムが発展している上、教育レベルが他国と比較して高い。
イ ウルグアイの金融機関は、流動性も信用性も高く、また、今後インフラ及び農業部門が成長すれば、短・中期的に国全体として発展するだろう。
(6)IMFの今後の予測
IMFは9月のレポートで、ウルグアイの本年の経済成長率は約6%、2012年は4.2%になると予測している。
4.貿易
(1)輸出
ア UruguayXXIによると、1-9月の輸出額は60億8,200万ドルで前年同期比21%増加した。また、9月の輸出額は7億1,900万ドルで前年同期比19%増加した。
イ 上記輸出額に、フライ・ベントス及びコロニアのフリーゾーンの主な企業からの輸出を合わせると、1-9月の輸出額はおよそ71億4,500万ドル。ヌエバ・パルミラのフリーゾーンからは中国やオランダ、ブラジル等に大豆、セルロース、小麦、麦芽等が輸出されている。また、コロニアのフリー・ゾーンからはメキシコや日本にペプシの原料や食品等が輸出されている。
ウ 1-9月の主な輸出品は、加工食品・飲料・タバコ(当館注・中銀によると、冷凍牛肉・生鮮牛肉、米はこの分類に含まれる)(輸出額全体の41.8%。前年同期比24.7%増)、大豆・小麦等農産品(輸出額全体の18.6%。前年同期比7.3%増)、化学製品・皮・プラスチック製品(輸出額全体の10.2%。前年同期比23.6%増)、繊維・衣服・靴等(全体の7.6%。23.2%増)、木材及び関連品・製紙・印刷等(全体の4.9%。19%増)、自動車及び関連部品(全体の3.8%。73.7%増)、生物関連品(注:当館注:中銀によると、生牛はこの分類に含まれる)(全体の3.3%。52.1%増)であった。
エ 9月の主な輸出品は、第1位が冷凍牛肉(1億100万ドル。全体の14%)。その内48%が対ロシア、16%が対EU諸国、11%が対イスラエル、8%が対ベネズエラ、6%が対米国向けであった。第2位は米(全体の7%。前年同期比45%増)であった。
オ また、大豆は、24%が海外に直接輸出され、76%がウルグアイのヌエバ・パルミラ・フリーゾーンに出された後、海外に輸出された。ウルグアイからフリーゾーンを経由せずに輸出された大豆の46%は米国へ、27%はブラジルへ、14%はアルゼンチンへ、4%はパラグアイへ、3%はカナダへ輸出された。フリーゾーンからは80万5,285トンが中国へ、23万5,753トンがドイツへ輸出された(当館注:ヌエバ・パルミラのフリーゾーンは、サイロ等穀物輸出用施設を備えており、穀物を船に直接積み替えやすい状況が整っていること、穀物の生産地にも近いこと、他方モンテビデオ港が最近操業過密状態にあること等から、対メルコスール以外の輸出用穀物はヌエバ・パルミラから輸出されている)。
カ 9月の主要輸出先国は、1位がブラジル(輸出額全体の23%)、2位がアルゼンチン、3位が中国、4位がロシアであった。
キ 1-9月の日本への輸出額は、746万9,233ドル。主要輸出品は、羊毛(314万5,719ドル)、羊脂(89万8,551ドル)、冷凍魚(78万2,434ドル)であった。また、ウルグアイのフリーゾーンから日本への輸出額は、6,984万1,801ドルであった。
(2)輸入
ア 1-9月の輸入額(原油・石油派生品等は除く)は62億8,000万ドルとなり、前年同期比30%増加した。また、9月の輸入額は8億600万ドルで前年同期比30%増加した。
イ また、1-9月の一時輸入措置による輸入額は8億5,500万ドルとなり、前年同期比35%増加した。
ウ 1―9月の主な輸入品は、自動車・バス等(輸入額全体の4.5%。前年同期比37%増)、自動車部品等(全体の3.4%。60%増)、貨物用トラック等(2.5%。5.9%増)、電話等(2.4%。20.6%増)、農薬等化学品(2.4%。90.1%増)であった。
エ 輸入先国は、輸入全体の約40%はメルコスール諸国(22%がアルゼンチン、19%がブラジル)であったほか、16%が中国、8%が米国、3%がドイツであった。
オ 1-9月の日本からの輸入額は、7,127万6,999ドル。主要輸入品は、合成ゴム関連品等(1,395万1,568ドル)、バス等自動車(1,069万6,081ドル)、機械・部品等(369万805ドル)であった。また、日本からウルグアイのフリーゾーンへの輸入額は、522万8,264ドルであった。
5.農牧水産業
(1)食肉の消費・流通
ウルグアイ全国食肉協会(INAC)による公表及び29日付「エル・オブセルバドール」紙による食肉消費・流通に関する統計の概要は以下のとおり。
ア 2010年食肉消費量(単位は㎏/人)
牛肉:61.2(昨年は58.2)
鶏肉:19.0(昨年は19.0)
豚肉: 9.7(昨年は8.6)
羊肉: 4.5(昨年は5.8)
合計:94.4(昨年は91.6)
イ 2011年食肉消費量(予想)(単位は㎏/人)
牛肉:59
鶏肉:22
豚肉:11
ウ 2010年牛肉消費量(単位は㎏)
国産牛肉流通量:194,854,536(約19万トン)
輸入牛肉流通量: 24,999
自家消費量: 48,495
合計:194,928,030(約19万トン)
エ 2010年の国産牛肉流通量は昨年より5.4%増加し、5年連続で上昇している。2005年には国産牛肉消費量の90.8%が未加工肉として流通し、9.2%が加工肉として流通したが、2010年には未加工肉が84.2%、加工肉が15.8%となっており、加工肉の消費が増加している。
(2)精肉工場
ア 8日付「エル・オブセルバドール」紙によると、牛の頭数が減少し、40%減となった。家畜の供給が少なく、価格が上がっていることにより、精肉工場3社が閉鎖されることとなった。
イ ウルグアイの精肉業には、土地の価格上昇、飼育数の減少、一部精肉工場での労働問題等の課題がある。
(3)乳製品の輸出
ア 国家乳製品協会(INALE)によると、本年1-8月の乳製品の輸出額は3億8,674万9,000ドルで前年同期比27%増加した。その内、脱脂粉乳が3,887万6,000ドルで前年同期比129%増、バターが3,637万3,000ドルで前年同期比83%となっている。また、粉ミルクは1億4,302万9,000ドルで22%増、チーズは1億2,790万7,000ドルで17%増となった。
イ 全輸出量は10万8,910トンで前年同期比9%増。その内脱脂粉乳が1万376トンで前年同期比52%増、バターが7,832トンで26%増、チーズが2万3,664トンで3%増となった。
ウ 8月の輸出先を見ると、脱脂粉乳は100%がブラジル向け、粉ミルクの99%がブラジル向け、チーズは62%がベネズエラ、15%がブラジル、9%がメキシコ、4%がアルゼンチン、2%がチリに輸出された。また、バターは62%がロシア、12%がアルジェリア、10%がモロッコ、3%がエジプトに輸出された。
エ 乳製品の輸出先は、対ブラジルが全体の51%、対ベネズエラが19%、対メキシコが9%、対ロシアが8%、その他対韓国が2%、対アルジェリアが2%となった。
6.労働
(1)失業率
国家統計院によると、7月の失業率は6.2%となった。本年後半に入ってからは労働争議も活発化しており、また、牛の頭数の減少等により、精肉業の業績が思わしくなく、失業保険に入る労働者も増えている。また、国際経済の状況も不安定である上、国内での土地税、アラティリ社の今後の鉄鉱石採掘事業に関する議論、税制改正等の議論が投資家を不安にさせており、今後の労働需要にとっては好ましくない状況となっている。
(2)インフォーマルセクター
社会保険庁によると、ウルグアイのインフォーマルセクターは減少しており、2004年には50%だったが、2009年は23%、2010年には20%となっている。
(3)名目賃金指数
国家統計院によると、8月の名目賃金指数(2008年7月を100とした数値)は先月より0.61%上昇、8月までの1年間で14.31%上昇した。民間セクターは1年間で16.19%上昇、公的セクターは11.15%上昇した。民間セクターのこの1年間の上昇率を分野別に見ると、ホテル・レストランが20.28%上昇、商業・自動車修理等が18.62%上昇、社会・保険サービスが18.45%の上昇となった。
(4)26日―29日付「エル・パイス」紙によると、25日に公共サービス部門労組のストライキが行われ、航空会社が影響を受けた他、26日及び28日にはモンテビデオの交通労働組合がストライキを実施した。また28日には公務員組合及び保健組合がストライキを実施した。
7.エネルギー
(1)石油探査事業
ア 3日付「エル・パイス」紙によると、ANCAPは、ウルグアイ海域内の15の鉱区での石油探査(Ronda UruguayII)のための入札を行うと発表した。
イ 9日付「エル・オブセルバドール」紙は、センディックANCAP総裁が、本件探査事業に関してこれまでに、米国のNoble Energy、Morphy Oil Corporation、Pan American Energy、フランスのGess Petroleum、英国のBritish Petroleum Group、British Gas、ロシアのGazprom、ブラジルのPetrobras、アルゼンチン及びスペインのYPF Repsol、ベネズエラのPdvsaが同事業に関心を示していると述べたと報じている。
ウ 10月にはヒューストンで、11月にはリオ・デ・ジャネイロで、その後ミラン及びカタールでも同事業の入札に向けたプレゼンテーションが実施される予定。
(2)エタノール工場建設事業
2日付「エル・パイス」紙によると、ウルグアイアルコール公社ALUR社はアルティガス県とエタノール精製工場を建設することを検討している。サツマイモ、モロコシ、トウモロコシ、サトウキビなどを原料をして使用する予定。
(3)パラグアイからの電力の輸入
パラグアイからの電力をアルゼンチンを経由してウルグアイに輸入する事業に関して、パラグアイ政府が通行料についてアルゼンチン政府と交渉を継続している。
8.インフラ
(1)2日付「エル・パイス」紙によると、ウルグアイ政府は、ヌエバ・パルミラ港関連事業として、米国のArcher Daniels Midland社による穀物輸送ターミナルの建設(投資額1億1,000万ドル)及びウルグアイのCartisur社による液体貨物輸送のための埠頭建設事業を検討している。
(2)7日付「エル・パイス」紙によると、6日、国家港湾局は、モンテビデ
オ港のC埠頭建設事業開始に向け、契約への署名を行った。この事業は8,000万ドルの投資により、最大18ヶ月の建設事業を行うもの。コンソーシアムの入札で落札したのは、フランスのSoletanche Bachy社、ブラジルのSaceem社、ベルギーのDredging International社。
(3)10日付「ウルティマス・ノティシアス」紙によると、ディアス港湾局長は、モンテビデオ港の8月までの1年間の稼働率は25%増加し、扱った貨物の量は83万5,000テウス(1テウ=20フィートコンテナ1個)となったと述べた。
(4)26日付「ウルティマス・ノティシアス」紙によると、25日、今後の公共事業案件の要請が各省等より国家開発公社(CND)に提出された。運輸公共事業省、環境土地整備住宅省、工業エネルギー鉱業省、電力公社等より各分野の25件の案件が提出された。大統領府は、この内Punta del Esteのコンベンションセンターの建設、高速道路(第21号線及び24号線)、モンテビデオ刑務所の建設の3案件を優先事業としている。
9.対外関係
(1)アルゼンチン
ア 1日付「ラ・レプブリカ」紙によると、アルゼンチン政府による輸入のために特別の手続きが課せられていることにより、2月は手続きに30日以上の遅れが見られたのは50件であったが、9月には22件となった。
イ ウルグアイからの主要輸出品は、自動車関連品、石油派生品、紙、皮革製品等。本年1―7月の当国からアルゼンチンへの主要輸出企業は、Santa Rosa Automotors(自動車)、Yazaki Uruguay(自動車部品)、Industria Papelera(製紙)
。
(2)ブラジル
ア 24日付各紙によると、ブラジルが自動車部門における工業製品税の引上げ措置を発表したことにより、主にブラジル輸出向け自動車の組み立てを行っているEffa社は、26日より工場を一時閉鎖し、従業員400人を失業保険の対象とすると発表した。
イ UruguayXXIによると、ウルグアイ国内では、Effa社が、中国のChongquing Lifan社と契約し、昨年よりLifan320、620の組み立てを行っており、昨年は85%が輸出向け(その内90%は対ブラジル向け)であった。また、中国のChery社が、アルゼンチンのSocma社と2009年からTiggo、Faceを組み立て、52%をブラジルへ輸出している。更に、ウルグアイのNordex社が中国のDonfeng Motor社とAeolusトラック、韓国のKia Motors社とKia Bongo2500のトラック、ボルボ社とPremium440Dxiを組み立てており、Effa社、Chery社、Nordex社の従業員は3社で1,000人となっている。
ウ ウルグアイからブラジルへの2010年の自動車の輸出額は、1億300万ドル、本年1-9月の輸出額は8,800万ドルであり、その内Chery社が1,070万ドル、Effa社が1,850万ドル、Nordex社によるKia Bongoの輸出額は5,880万ドルであった。
エ 27日、ポルト・ウルグアイ経済財務次官率いるミッションが、ブラジリアでブラジル政府関係者と協議を行い、ブラジルはウルグアイで操業している3企業からの自動車輸入について工業製品税30%の引き上げの対象外とすることを約束する旨の二国間による共同声明を発出した。
オ 但し、ポルト次官によると、今回の工業税引き上げ撤廃措置は、当国で操業しているChery社、Effa社、Nordex社3社のみに適用されるものであり、ポルト次官は、今後ウルグアイの自動車組み立て産業への新規参入企業がある場合には、ブラジルへの市場アクセスが保証できるよう、ブラジルに働きかけると述べた。
10.その他
(1)カネロネス県での工業団地の建設
5日付「ウルティマス・ノティシアス」紙によると、ウルグアイ企業は、アルゼンチン及びブラジルの企業と共に、カネロネス県の200ヘクタールの土地に、工業団地を建設する予定。2030年には当国を域内のロジスティックセンターとすることを目指し、ロジスティックス及び工業のためのセンターを建設する予定である。
(2)タカタ社
7日付「エル・パイス」紙に、タカタがウルグアイで11月11日に操業を開始すると報じられた。大竹社長によると、現在の顧客であるVolkswagen社の他、Toyota及びFiatとも交渉を行っている。ウルグアイでは1,000万ドルの投資で24の生産ラインを使って操業予定。2012年には従業員を現在の15人から120人に、3年後には500人にしたいと述べている。
(3)スーパーマーケットの買収
7日付「エル・パイス」紙によると、コロンビアのAlmacenes Exito S.A.が、ウルグアイのGrupo Disco(当国でDisco, Devoto, Geant等のスーパーマーケット事業を展開)を7億4,600万ドルで買収する。上記3つのスーパーマーケットは国内の小売り市場の43%を占めている。
(4)グローバル競争力指数
ア 世界経済フォーラム2011-2012のグローバル競争力指数ランキングによると、ウルグアイは142カ国中63位。ラ米諸国では、チリ、パナマ、ブラジル、メキシコ、コスタリカに次いで6位となった。
イ 評価される点としては、制度(39位)、高等教育レベル(42位)、保健・初等教育(47位)、インフラ(49位)、技術教育(49位)、イノベーション(55位)、マクロ経済環境(59位)等が挙げられるが、市場の効率性(77位)、金融市場の発展(79位)、ビジネスの洗練度(83位)、市場規模(87位)、労働市場の効率性(118位)等が課題。
(5)所得税改正法案
13日付「エル・パイス」紙によると、12日、ロレンソ経済財務大臣が、閣僚会合で所得税引き上げのための法案を発表した。また、アストリ副大統領は、所得税の引き上げと共に、2012年1月からの付加価値税(IVA)の2%引き下げ(22%から20%へ)についても検討していると述べた。
(6)アラティリ社
13日付「エル・パイス」紙によると、12日、ウルグアイ政府は、ウルグアイで鉄鉱石採掘事業を実施することを検討しているアラティリ社に対し、ウルグアイの投資法は適用されず、税制恩恵を受けられないこととすると発表した。アラティリ社による事業をはじめとする鉱物資源への対応について、当国政府は超党派より構成される委員会で協議を続けている。
(7)ラテンアメリカ企業ランキング500社
ア America Economía誌が発表したラテンアメリカ企業ランキング500社の中に入っているウルグアイ企業は、ANCAP(233位。営業利益23億2,720万ドル)及び電力公社(UTE)(362位。営業利益15億2,410万ドル)の2社。
イ なお、ランキングに入っている500社の内、ウルグアイとビジネスを行っているのは、ブラジル企業では、PetrobrasがMontevideogasを所有しているほか、Amber(ビール)が当国のFábrica Nacionales de Cervezaを買収した上、Marfrigは国内4カ所に食肉工場を所有している。
ウ その他、Arcelomitterがウルグアイの金属企業を買収、Bimboが食品企業を買収している他、Telmexも進出している。