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在ウルグアイ日本国大使館
Embajada del Japón en el Uruguay

 
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ウルグアイ経済:8月

 

 

ウルグアイ経済報告(8月分)

 

【概要】


1.国際経済の不確実性、メルコスール域内の保護主義的な状況の中、7月はペソ高傾向で1ドル21~22ペソ。財政赤字は1.7%、消費者物価指数は7.48%.


2.貿易額は引き続き増加したが、昨年と比較すると増加率が下がった。対ブラジル・中国輸出が好調。対アルゼンチン、パラグアイ、ヨーロッパ輸出は減少。対ベネズエラ輸出が国別で見ると3位となった。穀物や乳製品等の農産品の輸出が引き続き拡大。


3.穀物輸出の増大の中、港をはじめとするインフラ事業が少しずつ進展。大西洋への玄関口としてのロチャ県のEl Palenqueの港建設、モンテビデオ港拡大事業が進められている。


4.補正予算、労働協約の改定についての議論が進められる中、労働争議件数が増加している。政府は、今後の労使交渉では、各セクターの生産性も考慮するよう勧めた。7月の失業率は6.7%。


5.エネルギーについては、Puntas de Sayagoの液化天然ガス再気化工場建設事業の準備が進められている他、Puntas del Tigreでのサイクルコンビナートの入札が行われた。再生可能エネルギーでは風力発電事業が急速に伸びており、電力庁(UTE)は国際開発銀行(IDB)やブラジル、各県と協力に関する合意を進めた。また、燃料・アルコール・セメント公社(ANCAP)は石油試掘事業について外国企業との契約を行う予定。


6.アルゼンチンとの租税協定の国会での承認について、迅速な承認を求める政府と、承認を躊躇する野党との間で議論が生じている。ブラジルとの同協定も間もなく合意予定。アルゼンチン政府による各種規制により、アルゼンチンからの観光客減少が懸念されており、政府は関係者で対策を協議。他方、ブラジルによるウルグアイで組み立てている中国車の輸入規制は解除。ブラジルとの間で今後生産面での統合、科学・技術・イノベーション・通信、交通インフラ統合、財・サービスの自由な往来、人的交流の5つの分野で持続的な発展と二国間の統合のためのアクションプランが設定され、今後ハイレベルでの会合が進められる。

 

【本文】


1.経済概観(Deloitte社8月レポート、12日付「エル・パイス」紙、13日付「エル・オブセルバドール」紙)


(1)7月はペソ高傾向が続き、月末には1ドル22ペソを超えた。2011年末からは10%のペソ高。国際経済の不確実性、域内の状況を考慮すると今後数か月は為替が上下することが見込まれ、本年末は21.5ペソ、来年末は22.5ペソの予測。


(2)政府は本年の財政赤字は1.7%を予測している。これは、電力庁(UTE)をはじめとする国営企業の赤字増によるもの。来年は1.6%、2015年には1.8%となる見込み。


(3)エコノミスト等は、現在の状況は、翌年にブラジルの通貨切り下げが起こった1998年の状況と似ているとしながらも、現在の方が堅実で、経済政策がしっかりしている上、輸出先が多角化していると述べた。

 

2.消費者物価指数(国家統計院(INE)データ)


消費者物価指数は、7月までの一年間で7.48%増となった。教育部門が12.14%増、レストラン・ホテル及び家具・家庭用品等が各々10.5%増と二桁の増加となった。その他運輸が9.62%増、財・サービス等が9.15%増、保健が6.84%増、食品及びノンアルコール飲料が6.74%増となった。最も伸びが低かったのは通信で、0.43%増であった。

 

3.貿易(UruguayXXIデータ)


(1)輸出


ア 1-8月の輸出額は61億9,500万ドルで前年同期比15.1%増、また8月の輸出額は8億6,500万ドルで前年同期比10.5%増となった。


イ 1-8月は対ブラジル輸出が全体の17%を占め(輸出額は10億8,200万ドル)、対中国が12%(7億5,900万ドル)、対アルゼンチンが6%(3億4,700万ドル)、ベネズエラが5%(2億7,900万ドル)、ロシアが4%(2億7,400万ドル)、米国が4%(2億1,700万ドル)となった。主要輸出品は、大豆、冷凍牛肉、米、小麦、生鮮牛肉、丸太等。


ウ 主な輸出先国では対ブラジル、中国、ベネズエラ、ロシア、米国、イスラエル、チリ、スイス等への輸出は増加したが(特に対ベネズエラは47.9%増、対米国は48.8%増、対イスラエルは66.8%増、対チリは64.3%増)、対アルゼンチン(9.2%減)、対ドイツ(11.4%減)、対パラグアイ(25.4%減)、対メキシコ(13.2%減)、対イタリア(22.8%減)は減少した。


エ 地域別に見ると、対メルコスール輸出は29%、対アジアが21%、ヨーロッパが18%。


(2)輸入


1-8月の輸入額は、55億500万ドルで前年同期比0.6%増、8月の輸入額は7億9,100万ドルで前年同期比0.4%増となった。

4.農林水産業


(1)穀物(UruguayXXIデータ)


穀物の輸出額は引き続き上昇しており、1-8月の輸出額は大豆が13億7,300万ドルで63.7%増、米が3億6,300万ドルで25.4%増、小麦が2億7,500万ドルで69.9%増となった。


(2)乳製品(乳製品協会(INALE),UruguayXXI)


ア 本年前半の輸出は前年同期比で輸出量が30%、輸出額が21%増加した。粉ミルク、脱脂粉乳、チーズ、バターが輸出額全体の87%、輸出量の66%を占めた。主な輸出企業は、Conaprole(輸出全体の59%)、Inlacsa(10%),Ecolat Uruguay(8%),Pili(8%),Petra(5%),LácteaAgropecuaria(4%)等。同分野への海外からの投資が増加している。


イ ベネズエラ向け輸出が全体の35%を占めた他(輸出額1億1970万ドル)、対ブラジル向けが26%(9,100万ドル)、対キューバ向けが9%(3,100万ドル)、対メキシコが7%(2,340万ドル)、対米国が3%(940万ドル)となった。


(3)養蜂(2日付「エル・パイス」紙)


ウルグアイ養蜂協会によると、国内の3,200の生産者の内、70%が家族経営。同分野の従事者は8,000-10,000人。2011年の輸出量は1,400万キロ。生産の95%が輸出向けであり、これまでは主にドイツ向けであったが、現在は93%を米国に輸出している。

5.インフラ(22日付「エル・パイス」紙)


(1)運輸公共事業省は、ロチャ県El Palenqueの深水港建設事業に関するデータルームを開始した。


(2)ウルグアイで港湾サービス業を行っているSchandy社のダイレクター・ジェネラルのGonzalo Tapin氏は、最近のウルグアイの港を巡る状況について以下のとおり述べた。
ア Martín García運河の浚渫事業は長年の課題であるが、アルゼンチン政府の反対により進んでおらず、ビジネスに悪影響が及んでいる。現状の深水32フィートでは競争力を失う。


イ モンテビデオ港には新規のコンテナ・ターミナルが必要である。


ウ 本年のモンテビデオ港の稼働率はアルゼンチンの輸入制限により、アルゼンチンに向かう貨物のトランジットが減少しており、前年比15%減となるであろう。


エ Puntas de Sayagoの天然ガスの再気化工場建設事業を、モンテビデオ港の他の建設事業と一緒に考えるビジネスモデルもあり得ると考えており、現在外国のガス関連会社と話をしているところである。
オ ロチャ県の深水港は鉄鉱石や穀物、林業関連品の輸送を行うことにより、モンテビデオ港と補完的な関係を持つことが出来るだろう。


カ 鉄道リハビリ事業を行うにあたり、政府の政治的意志が欠如しており、また労組の反対が大きく、工事が進められないのは残念である。


(3)モンテビデオ港C埠頭建設事業(28日付「エル・パイス」紙)


モンテビデオ港C埠頭建設事業は、現在オランダとフランスのSaceem社が全体の30%の建設を行っている。同事業は、国際開発銀行(IDB)が8,600万ドルの支援を行うこととなっているが、政府は、港の使用料を引き上げることを認可し、これにより同事業の資金を調達しようとしている。

 

6.労働(14日付「ラ・レプブリカ」紙、21日付「エル・パイス」紙、23日付「エル・パイス」紙)


(1)カトリック大学の労働研究所によると、7月の労働争議件数は13件で前年比60%増となった。争議の内の3件は工場占拠、労働喪失日は30,798日、参加者は45,000人であった。民間セクターでの争議が全体の63%を占めた。


(2)コンサルタント会社KPMGによると、本年前半の新聞広告による人材募集件数は前年同期比25%減少した。2009年の経済危機の際の状況と似ており、国際経済の不確実性、域内諸国との緊張関係、賃金交渉の活発化等により、企業が新規契約に慎重な姿勢を示しているとした。また、主にスペインをはじめとする海外からウルグアイの雇用情報の照会が増えていることも指摘した。


(3)労働社会保険省のアンケートによると、昨年経済財務省に投資による免税の申請を行った企業の10社に1社は要求に見合う適当な人材を見つけられないと回答した。必要に応じた職歴が無い、熟練労働者も非熟練労働者も不足していること等が指摘されている。


(4)国家統計院(INE)によると、7月までの平均賃金は1年間で11.27%上昇した。民間セクターは10.96%増、国営セクターは11.83%増。また、7月の失業率は6.7%となった。


(5)コンサルタント会社Delitte社の労働関連レポートによると、労働協約に関する交渉は、本年は67件、来年は138件(全体の92%)行われる。政府が提案した今後の賃金交渉に関する基準は、協約の期間は3年、毎年交渉を行い、従業員一人あたりのGDP、セクター別の生産、インフレ率を考慮する他、個別企業の生産性も考慮することを勧めるとするものとなった。企業の生産性よりもセクターの生産の平均がより重視されることを指摘している。セクター別の生産において、税務署(DGI)による労働者一人あたりの売り上げ、国家統計院(INE)の従業員数・労働時間、社会保険庁(BPS)への積立金等も考慮される。

 

7.エネルギー


(1)風力発電(11日、29日付「エル・パイス」紙)


ア 米州開発銀行(IDB)が、ラバジェハ県のEl Libertadorでの民間企業による風力発電事業に6,500万ドルの支援を行う。同事業は投資額1億6,900万ドルで1.5MWの発電機を44機設置するもの。


イ 電力庁(UTE)のカサラビージャ総裁は、ブラジルがウルグアイに投資を検討しており、BNDS社が2億ドルの融資を行う予定であると述べた。この内1億5,000万ドルはUTEが、残りはウルグアイの民間企業に充てられる。
ウ UTEはセロ・ラルゴ県とMeloでの風力発電事業(Melo Wind)の署名を行った。本件事業はEstrellada社が手がけており、50KWの発電機20機を導入しようとするもの。


(2)天然ガス再気化工場建設事業(21日付「エル・パイス」紙)


ア 同事業で使用される天然ガスはアンゴラ、トリニダード・トバゴ、ナイジェリア等より輸入される可能性がある。


イ 同事業に関する初期コストは、浚渫のメンテナンスのコストが年間3,300万ドル、工場のオぺレーションコストが1億1,000万ドルとなる予定。


(3)Punta del Tigreのサイクル・コンビナート建設事業(21日付「エル・パイス」紙、22日付「エル・オブセルバドール」紙)
ア 電力庁(UTE)によると、本件事業の入札の結果、価格が最も低かったのは、アルゼンチンのElectroingenieríaで投資額が5億3,100万ドル、メンテナンスが1,500万ドル、2番目に低かったのは、Hyundaiで投資コストが5億2,900万ドル、メンテナンスが2,800万ドルであった。また、スペインのReal Madridの会長Florentino Pérez氏のCobra社も本件入札に参加した。


イ ただ、Electoingeniería(実際の建設はSiemens)は以前訴訟問題を起こしたこともあり、UTEは同社について調査中であり、場合によってはHyundaiが落札となる可能性もある。


(4)石油試掘事業(21日付「エル・オブセルバドール」紙,22日付「エル・オブセルバドール」紙)


ア 国家燃料・アルコール・セメント公社(ANCAP)は、海底での二度目の試掘事業(Ronda UruguayII)について、イギリスのBG,BPの他、Tullow OilとフランスのTotal社との契約を承認した。今後は工業エネルギー鉱業省と大統領府の承認が必要となる。上記4社との契約署名は9月に行われる予定。投資額は15億6,200万ドル。


イ アルティガス県及びサルト県での試掘事業には、フランスのTotal社とアルゼンチンのMedarit社が関心を示している。第一段階の7,000平方キロメートルでの試掘への投資額は100万ドル。サルト県南部及びパイサンドゥ県、ドゥラスノ県西部での試掘事業への参加企業を引き続き募集している。


ウ また国外では、今後数ヶ月はベネズエラと石油開発事業を行い、石油の輸入・精製・流通・輸出の垂直統合を進める中で原料のベネズエラからの調達を強化するとした。

 

8.自動車(29日付「エル・オブセルバドール」紙)


(1)中古自動車に関して、政府は輸入禁止措置を180日間延長するとする政令を発出した。政府は、中古車を輸入すると税収に影響が及ぶこと、また自動車生産チェーンの発展などを目指した工業エネルギー鉱業省による投資誘致政策を損ねるおそれがあるとして、これまでに引き続き輸入を禁止している。

 

9.対アルゼンチン関係


(1)輸入規制の影響(11日付「エル・パイス」紙)
ア アルゼンチンの輸入規制の影響で、本年前半のウルグアイでの自動車部門、繊維、機械・部品関連品の生産が減少した。またプラスチック生産企業(Laja社)が倒産した。


(2)租税協定の今後の国会承認(21日付「エル・パイス」紙、28日付「ラ・レプブリカ」紙)
ア 現在上院で審議中であるアルゼンチンとの租税協定につき、ロレンソ経済財務大臣は、ウルグアイのビジネス環境改善、投資促進のために重要なものであるとして、与党FA党に同協定を承認するよう求めた。大臣は、同協定がアルゼンチンによるウルグアイの不動産への投資に影響をもたらす可能性を否定し、同分野に影響が及ぶとすればそれは他の要因であると述べた。


イ 同協定に関し、野党コロラド党は夏以降まで国会での承認を引き延ばすとの提案を行ったが、閣議で同提案は認められないとして却下された。

 

10.対ブラジル関係(1日付「エル・パイス」紙、10日付「エル・オブセルバドール」紙、20日付「エル・パイス」紙)


(1)マルドナド県のHoracioDíaz観光局長は、この3年で年30%程度増加しているブラジル資本による不動産投資を今後更に促進すると述べた。


(2)ウルグアイで組み立てている中国のLifanの自動車のブラジルへの輸入一時停止が解除された。


(3)ブラジルとウルグアイのハイレベルのワーキンググループが結成され、今後生産面での統合、科学・技術・イノベーション・通信、交通インフラ統合、財・サービスの自由な往来、人的交流の5つの分野で持続的な発展と二国間の統合のためのアクションプランが設定された。

 

11.対ベネズエラ関係(10日付「エル・オブセルバドール」紙、20付「エル・パイス」紙)


(1)Chery-Socma社は、200-300台のTiggoのトラックをウルグアイで組み立ててベネズエラに輸出することを検討している。
(2)政府は、ベネズエラへの輸出拡大を検討しており、医薬品の輸出等も念頭に置いている他、比較優位となるものを考慮している。

 

12.対中国関係(1日付「エル・パイス」紙)


イベロアメリカ事務局主催の「アジア:ラテンアメリカにとっての経済・貿易の機会と挑戦」セミナーが開催された。トレス工業エネルギー鉱業省工業局長は、アジアは一次産品の輸出の要であり、中国の食料の需要が拡大する中、この市場にどう参入するかが重要であると述べた。また、労組について触れ、労組はビジネスの交渉の障害ではなく、同盟者であり、その役割は重要であると述べた。更に中国とのFTAについては、ウルグアイにとって最良なのはバランスを重視し、南米地域と中国が対立的な関係にならないことが重要であり、地域統合の枠内でのFTAを検討しているとし、ブラジルが域内の経済を主導しているので、ウルグアイはその架け橋となると述べた。

 

13.その他


(1)ウルグアイの国債の格上げ(1日付「エル・パイス」紙)


Moody’s社は、ウルグアイの国債をBa1からBaa3に格上げし、これによりウルグアイは投資適格国となった。


(2)大型スーパーの売り上げ(22日付「エル・パイス」紙)
コンサルタント会社Delitteによると、大型スーパーの売り上げは2011年は前年比5.8%増となったが、本年は5%増、来年は4%増となる見込み。スーパーマーケット協会のHugo Avegno会長によると、ウルグアイの主要スーパー(Ta-ta,Multiahorro, Disco,Devoto, Geant, TiendaInglesa, El Dorado)の本年6月までの1年間の売り上げは前年同期比13.8%増(その内食品は14,3%増)となったと述べた。スーパーの雇用者数は18,500人であるが、賃金コストが1年間で27%上がっており、インフレに合わせて時間給が上昇している。


(3)中南米諸国への企業ミッション派遣(28日付「エル・パイス」紙)


UruguayXXIによると、9月~11月にウルグアイの約30社の企業ミッションが今後の太平洋側諸国との経済関係強化促進のためチリ、ペルー、メキシコを訪問する予定。化学・医薬品・自動車部品・ソフトウェア・情報通信・食品・繊維等の企業がミッションに参加予定。


(4)アルゼンチンからの観光客誘致(28日付「ラ・レプブリカ」紙)


27日、アルマグロ外相、ポミ在アルゼンチン・ウルグアイ大使等は、今後のアルゼンチンからの観光客数を維持するための協議を行った。アルゼンチンでのドル購入が困難なこと等がウルグアイへのアルゼンチン観光客誘致に大きな影響をもたらすと考えられており、政府は数週間で対応策を打ち出す予定。

 

 

 

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