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在ウルグアイ日本国大使館
Embajada del Japón en el Uruguay

 
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ウルグアイ経済:12月

 

 

ウルグアイ経済報告(12月分)

 

1.概要


(1)ブラジルやアルゼンチンの保護主義的な動きの中、国際経済危機のウルグアイへの影響も危ぶまれている。さらに、労働問題等が今後輸出競争力に影響を及ぼすとの見方もある。


(2)2011年は各種経済指標も好調であり、貿易も伸びたが、来年は引き続きプラスの数値になるものの、成長は減速するとの見方が多い。


(3)政府は、公的債務の脱ドル化を進めるため、債務の借り替えを行った。


(4)ウルグアイからの穀物や木材などの一次産品輸出が急増する中、輸送のためのインフラ整備が引き続き急務となっている。他方、サイクルコンビナートの発電事業等エネルギー分野の事業の入札などが開始されたが、更に来年初めには大型案件の入札が実施される予定。

 

2.経済予測


(1)スペインのBBVA社は、ウルグアイの今後の成長は、国際経済危機により減速するものの、ラテンアメリカの経済成長の平均を上回り、2012年の成長率は4%となると予測している。同社は、ウルグアイの経済は域内の他国と比較すると弱くはないが、国際経済危機が続けば影響を受ける部分もあるとしており、今後のEUの状況次第では、またコモディティーの価格が下がれば、当国からの輸出の25%に影響が及ぶだろうと見ている(2日付「エル・オブセルバドール」紙及び7日付「エル・パイス」紙)。


(2)9日、ウルグアイのエコノミストによる今後の経済に関する講演会が実施された。エコノミスト等は今後の課題は、国内問題として、更なる賃上げ等もあり生産性の向上が妨げられ、輸出競争力が失われること、またアルゼンチンとブラジルによる保護主義的な政策による影響が及ぶ上、ユーロ危機によるインパクトも受けるだろうと見ている(10日付「エル・パイス」紙)。

 

3.主要経済指標等


(1)GDP


ア 第3四半期のGDPは、第2四半期より2.9%増、前年比7.5%増、この1年で5.9%増となった。運輸・倉庫・通信分野が、携帯電話及びデータ通信の増加により13%増、商業分野では自動車販売等の増加により10.5%増となった。


イ アナリストらは、第4四半期の経済成長率は、国際経済危機の影響等もあり下がると見ている。
(2)インフレ


1-11月の物価上昇率は7.84%となった。政府は引き続きインフレ率を4-6%の枠内に収めたいとしているが、13日に発表された中央銀行の調査結果によると、政府の規定する枠内におさまると考えている人は誰もいなかった。2012年のインフレ率について、コンサルタント会社OIKOS社は7.6%、CPA/FERRERE社は7.2%となると予測している。


(3)投資


経済財務省により、投資法等に基づき本年1-11月に免税が承認された案件は765件、額にして12億4,170万ドルで、前年同期比33%増となった。

 
(4)工業生産指数


ア 10月までの1年間の製造工業生産指数(石油・石油派生品除く)は、5.71%増となった。分野別に見ると、自動車が61.31%増、皮革製品等が26.13%増、化学品等が15.93%増、木材等が9.82%増、基礎金属は9.68%増、プラスチック品等は7.73%増、製本は7.09%増、機械は5.48%増となった。


イ その他石油派生品・石炭は12.74%、繊維品等は6.7%減、電子機械・部品は6.62%減、紙等は6.50%減、輸送関連品は6.21%減となった。

 

4.公的債務の脱ドル化


(1)ウルグアイの公的債務は2005年は5%がペソ、残りはドルであったが、2010年の第4四半期にはドル比率が66%、ペソが34%となり、本年第三四半期にはドルが59%、ペソが41%と脱ドル化が進められている。政府は、更なる脱ドル化を行うことを目指している。


(2)5日、政府は2017、18、19年に償還期限が到来する国債額が多いこともあり、これに対処するため、また今後の脱ドル化を更に進めるために、20億ドル相当までのペソ建て新規国債(2028年償還期限。利子率は4.2%から4,375%)と2018年期限のペソ建て国債(総額約12億ドル)とをプレミアムを付けた上で借り替えるほか、2012年から2019年に償還期限が到来するユーロ及びドル建て国債(総額約13億ドル)と2022年から2036年に償還期限が到来する国債(約48億ドル)のうち、10億ドルを上限に買い戻すとしている。


(3)政府は、今後世銀及びIDBからの融資の支払いをペソで行う可能性を考慮し、融資の契約の際にペソでの返済についての条項を盛り込むことで両機関と合意に至った。両機関からの融資16億ドルが対象となるほか、2010年から2015年の世銀からの融資7億ドル、IDBからの融資17億9,700万ドルへの支払いも対象に含まれる。


(4)世銀とは9月に本件についての合意に至っており、2002年、2003年、2005年、2007年の約4億4,500万ドルが対象に含まれている。また、今後の融資分として2機関で計24億9,700万ドルもこれに含まれる。政府は、支払いの際の状況に応じて、ドルとペソどちらで支払いを行うかを決めることが出来る(当館注:2010年の対外債務残高は146億2,300万ドル(中銀))。


(5)政府のこうした措置により、債務のペソ比率は45%となった(13日「エル・パイス」紙)。

 

3. 貿易


(1)輸出


ア 最近、ロシアがウルグアイにとって主要輸出国の一つとなってきており、ウルグアイ工業協会は、今後は医薬品や皮革製品、木材、紙、段ボールや医療機器等のロシアへの輸出を伸ばせるのではないかと見ている(16日付「エル・パイス」紙)。


イ 2011年の輸出額は80億2,200万ドルで前年同期比18%増。


ウ 2011年の主な輸出品は、第1位が冷凍牛肉(輸出額9億7,900万ドル(前年同期比16.1%増)。第2位は、大豆(輸出額8億5,800万ドル(21.6%増)。第3位は米(輸出額4億7,500万ドル(23.2%増)。その他、前年同期比で増加率が高かったのは、第9位の麦芽(輸出額2億1,300万ドル)で前年同期比45.8%増。


エ 2011年の主要輸出先国は、ブラジル(輸出額16億3,000万ドル。前年同期比11.5%増)、中国(6億6,500万ドル。78.3%増)、アルゼンチン(5億8.800万ドル。16.8%増)。ブラジルには主に麦芽、プラスチック製品、乳製品、中国には主に大豆と羊毛、アルゼンチンには自動車部品、ケーブル等、トラクターの輸出が行われた。

 

(2)輸入


ア 2011年の輸入額(原油・石油派生品等は除く)は85億7,100万ドルとなり、前年同期比24%増。貿易赤字は5億4,900万ドル。


イ 主な輸入品は、第1位が自動車(輸入額3億9,200万ドル(30.8%増))、第2位が自動車関連部品(2億6,700万ドル(42.1%増))、第3位が電話機(2億1,700万ドル(18.1%減))となり、自動車関連品が全体の約10%を占めた。


ウ 輸入先国は、第1位がアルゼンチン(輸入額18億2,100万ドル(30%増))、第2位がブラジル(16億4,600万ドル(12.3%増))、第3位が中国(14億3,900万ドル(28.1%増))。
エ またアジア諸国からの輸入では、韓国が第7位(2億400万ドル、
103.8%増)、インドが第14位(1億1,600万ドル、68.5%増)台湾が第15位(1億1,100万ドル、11.7%増)となった。

 

(3)日本との貿易


ア 2011年の日本への輸出額(フリーゾーンを除く)は1,027万62ドル。主要輸出品は、羊毛(481万557ドル)、羊脂(136万139ドル)、木材(97万3,616ドル)であった。
イ 2011年の日本からの輸入額(フリーゾーンを除く)は、9,605万8,470ドル。主要輸入品は、合成ゴム(1,795万6,353ドル)、自動車(1,618万5,933ドル)、印刷機器及び周辺機器(512万55,817ドル)であった。


ウ また、ウルグアイのフリーゾーンから日本へのトランジット額は、8,596万5,152ドル、日本からウルグアイのフリーゾーンへのトランジット額は、1,001万8,640ドルとなった(UruguayXXI)。

 

4.農牧水産業


(1)牛肉


ア 2011年はウルグアイから中国に2万4,000頭の乳牛が輸出され、この5年で輸出は3倍増となった。中国への牛肉輸出を手がけているRuben Uchitano社によると、2012年前半の輸出分も既に契約済みでありHoland牛が輸出される見込み。ラテンアメリカ諸国の中で、乳牛を中国に輸出しているのはウルグアイだけである(11日付「エル・パイス」紙)。


イ 韓国への輸出に係る交渉は最終段階に入っており、2012年から輸出が開始される予定。食肉協会のFratti会長は、韓国と日本への輸出がまだ実現出来ていないとし、今後は長期的に日本への輸出を視野に入れていきたいと述べている。


ウ 2011年の輸出額は16億5,000万ドルとなり、昨年より1トンあたりの平均価格が29%上昇した。また、2011年の国内消費量は前年比4%減の58.5キロとなる見込み(15日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)。

 

5.労働


(1)農牧林業従事者増加


2000年から2009年に農牧林業に従事する人の数が68,115人から96,690人と42%増加、特に林業では同期間に983人から8,032人と717%増加した。また、熟練労働者は16,575人から25,239人と52%増、非熟練労働者は51,541人から71,452人と39%増となった(農牧省)。


(2)失業率


10月の失業率は5.7%となった(INE)。 


(3)労働従事者指数


1月から10月は、自動車分野で24.38%増、非金属鉱業分野で6.03%、機械分野で3.76%と伸びが大きかった。減少が大きかったのは、繊維製品分野で
▲10.29%、衣料品分野▲8.35%、プラスチック品等の分野▲5,4%等であった(INE)。

 

6.エネルギー


(1)料金値上げ


12日、燃料・アルコール・セメント会社(ANCAP),国営電力公社(UTE)等は料金値上げを発表した。電力・燃料料金等については、今後の夏の干ばつの可能性と石油価格上昇の影響を考慮した上でのもの。ANCAPによると、燃料は平均5.9%の値上げとなり、ガソリンは1リットルあたりSuper95が35.6ペソで6%の値上げ、La Especial87は35.4ペソで5.7%の値上げとなった(13日付「エル・パイス」紙)。


(2)天然ガス


19日、ボリビアからウルグアイ及びパラグアイにガスパイプラインを通して天然ガスを輸入する事業に関し、ボリビア政府が同事業のフィージビリティースタディーを行うための入札を行うことを発表した。入札は来年半ばに行われる予定(20日付「エル・オブセルバドール」紙及び「ラ・レプブリカ」紙)。


(3)サイクルコンビナート発電所建設事業


Punta del Tigreでのサイクルコンビナート発電所建設事業に関し、UTEが実施している入札(アンデス開発公社(CAF)が1億8,000万ドルの融資承認済み)に、Hyundai社、Cobra社(スペインのFlorentino Perez)、Electroingenieria社(アルゼンチン)が、Siemensの機材(タービン)使用の予定で参加している他、Asaldo社(イタリア)、General Electric社も参加している(21日付「エル・パイス」紙及び「ラ・レプブリカ」紙)。


(4)潤滑油


ア DUCSA社(ANCAPが90%以上の株を保有)は、Lifan社とANCAPの潤滑油を使用するための契約を締結した(7日付「エル・パイス」紙)。


イ また同社はHaima社、Mahindra社、Yuejín社、Zotye社がANCAPの潤滑油を使用するためにCanur Antomotorsと契約を行った(14日付「エル・パイス」紙)。

 

7.インフラ


(1)インフラ建設コストの上昇


賃上げ等の労働コスト上昇により、ウルグアイでのインフラ建設コストが上昇している。国営アルコール・石油・セメント公社(ANCAP)のセメント建設工場も当初最大2,100万ドルと見積もられていたが、3,000万ドル以上の投資が必要となる可能性もある。また、国家港湾局(ANP)の穀物輸送のためのサルトの港湾事業も当初70万ドルを見積もっていたが、Stiler社と契約署名をした際には、150万ドルの契約となった。なお、ANCAPのセメント工場建設事業への投資は2件で2億ドル以上となる予定(9日付「エル・パイス」紙)。


(2)マルティン・ガルシア河浚渫事業


ラプラタ河管理委員会(CARP)は、34フィート浚渫事業に関し、Boskalis社、Dredging社、Jan de Nul社、Van Oord社4社が事業への参加を表明した(15日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)。


(3)モンテビデオ港の稼働率


国家港湾局(ANP)によると、2011年のモンテビデオ港の稼働率は前年比31%増加し、87万テウスとなる見込み(16日付「エル・パイス」紙)。


(4)農林産品輸送


農林産品の輸出が急増する中、輸送インフラの整備・メンテナンス事業が引き続き急務となっている。2010年の輸送品の全体で1,210万トンであり、その内、690万トンが木材、400万トンが穀物(米を除く)、120万トンは米の輸送であった(農牧省HP)


(5)米州開発銀行(IDB)による8,000万ドルの融資


IDBはウルグアイの道路網修復、都市間道路における治安状況改善、及び貨物のための鉄道の利用増加に寄与するため8,000万ドルを融資することを承認した。

 

8.自動車


(1)2011年1-10月の乗用車の新車販売台数は48,000台で、昨年比12.5%減となった。またバス・トラックの販売台数は3,000台。2011年の新車販売台数は51,000台となる見込み。
(2)中国Lifan社は、域内における工場建設フィージビリスタディを終了。政府関係者によると、ウルグアイでの工場建設の可能性が最も高い由。この他、Lifanは電気バイクの生産工場の建設も検討中とのこと。


(3)EffaとCheryは共同でウルグアイ初のエンジン工場建設プロジェクトを立ち上げた。今後中国からウルグアイへ代表団が交渉に来る予定で、プロジェクトの実施決定は2月に行われる由。新工場は既存の組み立て工場とともに建設予定で、5,000万ドルの投資が見込まれる。


(4)欧州の投資家は、Effa、Nordex、Cheryに次ぐウルグアイ4番目の自動車組み立て工場の建設に関心を示しており、2012年にサン・ホセ県とカネロネス県に工場建設開始予定で、8,000万ドルの投資が見込まれる。


(5)アルゼンチンのSavoiacarsは、フライ・ベントス市において、自動車組み立て工場を設置するため、リオ・ネグロ県と契約に署名。年間500台の生産が見込まれ、100万ドルが投資される。工場は2012年中盤から操業される由。

 

9.デジタルテレビ


現在政府はデジタルテレビに関する政令を準備。この政令はチャンネルの分配を決めるものであり、UHFの21-36、38-41チャンネルを国営・全国テレビに分配。その内モンテビデオ用は6チャンネルであり、その内1チャンネルが国営放送(TNU)に振り分けられる。チャンネルを希望する局はプロジェクトを提出し、通信局での審査の後、15年の使用認可が与えられる予定(15日付「エル・パイス」紙)。

 

10.対外関係


(1)ブラジル


ア 工業エネルギー鉱業省のトレス工業局長は、ウルグアイからの産品がアルゼンチン及びブラジルに円滑に輸出できていない事態を受け、政府は、例外品目の輸出枠を設けるかわりに、その他の品目を自由に輸出できるようにする措置を検討すると述べた。トレス局長は、衣料品や自動車等のセンシティブな品目を救済すると共に、新規産業の発展を促すことが狙いであると発言している。ウルグアイ工業協会は、こうした措置を検討することに対して、あくまで貿易が円滑に行われるようになるまでの一時的な措置であるとして、政府の対応を支持している。しかし、ブラジル政府は、ウルグアイ政府のこの提案を拒否した(22日付「エル・パイス」紙)。
イ ブラジル政府は、工業商工会議所が繊維業者へ認可しているメルコスール原産地証明は、今後、ブラジル総領事館により書面で保障されなければならないとすることを決定。ブラジルは現地繊維産業において中国原料を用いたダンピングの可能性がないかを調査する由。


(2)アルゼンチン


ウルグアイの繊維関連品の輸出に関し、6社からの輸出手続きに遅れが見られ、70日間輸出が止まっていた。6日、手続きの遅れていた37件に関し、アルゼンチンが手続きを完了したとの発表があったが、ウルグアイ関係者は度重なるアルゼンチン政府の保護貿易主義的な姿勢にいらだちを示している(2日付「エル・オブセルバドール」紙及び7日付「エル・パイス」紙)。


11.その他


(1)航空会社PLUNA


ア ウルグアイの航空会社PLUNA社は、CRJ900 NextGenを購入することにより、同社の飛行機を13機とすることを検討していたが、飛行機購入の決定を来年に持ち越すこととなった。同社は来年3月までにカナダのBombardierを購入するかを決めることとなっている。


イ 同社の総収入は1億4,360万ドル。現在チリ向けの航空便も検討している。同社はこの1年で115万人の乗客の運行を行い、モンテビデオのカラスコ空港の発着便の60%は同社のものとなっている(15日付「エル・パイス」紙)。


(2)IDBによる農牧業支援


IDBは、アルゼンチンの企業家ブルゲローニ氏による事業に6,500万ドルまでの支援を行うことを発表した。ブルゲローニ氏は、ウルグアイで農牧林業等を手がけているが、今回の支援は、ドゥラスノ県での酪農を含む農牧業(粉ミルク生産、トウモロコシによる飼料生産、バイオガス、バイオディーゼル発電等で全投資額は2億2,600万ドル)に対し、搾乳施設等建設のための支援を行うもの(16日付「エル・パイス」紙)。


(3)無記名株保有禁止法案


28日、政府は無記名株保有者を特定することを目的とする法案を議会に提出した。この法案が可決されれば、株保有者は株券の発行母体に対し、申告書を提出しなければならず、違反に対しては罰金が科され、発行母体は株保有者に利益を支払わないこととなる。

 

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