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Japan

在ウルグアイ日本国大使館
Embajada del Japón en el Uruguay

 
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ウルグアイ経済:11月

 

ウルグアイ経済報告(11月分)

1.経済概要


(1)ウルグアイの経済は引き続き成長しているが、ヨーロッパや米国の経済危機の余波が懸念されている。また、コモディティー価格の低下もウルグアイにとっては大きな影響をもたらすと見られている。高い賃上げや労働争議(特に公的部門)の活発化などの労働問題も引き続き懸念事項となっている。


(2)貿易も引き続き拡大。ブラジル、アルゼンチン、中国が主要貿易相手国。主な輸出品は農産品。主な輸入品は自動車関連品。しかし、ブラジル及びアルゼンチンのウルグアイの繊維製品輸入規制などに見られるような隣国の保護主義的な措置への国内関係者からの反発も生じている。


(3)大豆をはじめとする穀物生産が拡大し、穀物備蓄能力が上昇し、穀物メジャーが関連施設を建設する等の動きが見られる中、アルゼンチンとの生産コスト差の減少により、アルゼンチン企業がウルグアイでの穀物生産を縮小する動きも見られる。


(4)エネルギー分野では、エタノール、バイオディーゼルやサイクルコンビナートの地熱発電等の施設の建設事業が進められている。また、今後タクシーへのハイブリットカー導入に向けた動きも見られる。

 

2.今後の経済予測(コンサルタント会社Deloitte社報告書)


(1)ウルグアイ経済は、グローバル経済の影響を受け減速。第二四半期の経済成長率は第一四半期より0.5%減。グローバル経済の不確実性もあり、本年のGDP成長率予測をこれまでの7%から5.7%に引き下げた。他方、2012年は、長期的には経済成長が見込まれること、Montes del Plata社のセルロース生産関連施設の建設のための投資により引き続き5%としている。


(2)経済の拡大は、運輸・通信、商業、建設分野に牽引される形となる。特に運輸・通信分野では、携帯電話・データ通信が成長。また、農業・林業も成長している。国内需要も高い。建設業も今後の公共事業の拡大、Montes del Plata社関連事業等により成長。


(3)他方、家畜供給量の低下、コスト高により、2012年の第一次産業及び製造業の成長率は2%程度となる見込み。


(4)ディマンド・サイドは民間セクターに牽引され、高い家計収入と消費者融資の伸びにより、2012年の民間支出は5.5%増となる見込み。更にMontes del Plataの事業により、2012年の民間投資は前年比17%増が見込まれている。他方、公共セクターの大きな成長は見込まれず、輸出も供給の減少により減速。


(5)今後為替変動が大きくなり、コモディティー価格が低下し、新興国からの資本の逃避が加速すれば、ウルグアイ経済は更に減速するだろう。


(6)輸入が増加する一方、輸出量に陰りが見られる中、Montes del Plata社の建設事業に伴う機材等の輸入により更に貿易収支が不均衡となる。他方、2011年の直接投資額は22億ドル、2012年は20億ドルが見込まれている。


(7)2012年のインフレ率については、コモディティー価格の低下等により下がり、6.8%となるだろう。


(8)ウルグアイペソは来年も引き続き強い。本年は1ドル19-20ペソとなるだろう。


(9)本年、実質賃金は、民間セクターの4.8%の賃金上昇により4.1%増加した。2012年は増加率がやや低下するものの、本年と同様のペースで伸びるだろう。これにより労働コストが上がれば、経済の減速につながる。


(10)ウルグアイ経済の懸念事項は、今後更なる賃上げが見込まれる労働市場。労働争議の活発化、今後の税制改革議論も長期的には投資に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

3.主要経済指標等


(1)為替


11月は1ドル19.6ペソ台から20.2ペソ台で推移した。


(2)財政赤字


10月までの1年間の財政赤字は1.1%となった(31日、経済財務省)。


(3)投資


ア ウルグアイへの直接投資額は、6年で97億2,600万ドルとなった。2010年は23億5,800万ドル。国別に見ると、アルゼンチンからの投資が22.7%(主に農業、製造業、サービス業向け)、スペインからが9.3%(主に金融、コールセンター、林業向け)、米国からが6,3%、ブラジルからが5.5%、英国からが3.3%。その他バハマ諸島からが2.8%、バーミューダ諸島からが2.7%、オランダからが2.4%、フランスからが2%、ベルギーからが1.1%。


イ 産業別に見ると、2001-09年は60%以上が農牧林業、建設業、製造業向けであった。また、2005-06年は主に林業に向けた投資が行われ、2007年はセルロース工場を初めとする建設業への投資が目立った(3日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)。


(4)製造工業生産指数


ア 9月までの1年間の製造工業生産指数(石油・石油派生品除く)は、6.3%増となった。分野別に見ると、自動車が65.79%増、皮革製品等が25.29%増、化学品等が16.8%増、木材等が13.04%増、基礎金属は12.66%増、タバコは10.26%増。また、食品・飲料等は2.8%、木材等が0.3%増となった。


イ その他輸送関連品は8.5%減、繊維品等は7.2%減となった。また、電子機械・部品は5.17%減、石油派生品・石炭は3.1%減となった(INE)。

 

3. 貿易


(1)輸出


ア 1-11月の輸出額は73億5,800万ドルで前年同期比20.5%増。また、11月の輸出額は6億7,500万ドルで前年同期比23%増。2011年の輸出額は79億ドル、前年比16%増となることが見込まれている。


イ 上記輸出額に、フライ・ベントス・フリーゾーンのUPM社(セルロース)及びコロニア・フリーゾーンのPEPSI社からの輸出を合わせると、1-11月の輸出額はおよそ85億2,400万ドルとなった。UPM社からの輸出は6億4,090万ドル、PEPSI社からの輸出は5億2,540万ドルであった。


ウ 1-11月の主な輸出品は、第1位が大豆(輸出額8億5,600万ドル(前年同期比21.3%増)、輸出額全体の12.9%)。第2位は、冷凍牛肉(輸出額7億9,700万ドル(18.3%増)、全体の12%)。第3位は米(輸出額3億8,900万ドル(20.8%増)、全体の5.8%)。その他、前年同期比で増加率が高かったのは、第9位の麦芽(輸出額1億6,700万ドル)で前年同期比45%増。また、第13位の冷凍魚は輸出額1億3,000万ドルで前年同期比56%増。


エ 1-11月の主要輸出先国は、ブラジル(輸出額12億9,900万ドル。前年同期比16%増)、中国(3億4,400万ドル。85%増)、アルゼンチン(4億6,100万ドル。17.9%増)。ブラジルには主に麦芽、プラスチック製品、乳製品、中国には主に大豆、羊毛、牛肉、アメジスト等、アルゼンチンには自動車部品等、ケーブル等、トラクターの輸出が行われた。

 

(2)輸入


ア 1-11月の輸入額(原油・石油派生品等は除く)は78億1,700万ドルとなり、前年同期比27.4%増。貿易赤字は4億5,900万ドル。また、11月の輸入額は、7億8,700万ドルで、16.6%増。


イ 1-11月の主な輸入品は、第1位が乗用車(輸入額2億6,100万ドル(33.9%増))、第2位が自動車関連部品(1億7,000万ドル(44.2%増))、第3位が貨物トラック(1億9,500万ドル(0.6%減))となり、自動車関連品が全体の10%以上を占めた。


ウ 輸入先国は、第1位がアルゼンチン(輸入額12億2,480万ドル、(35.2%増))、第2位がブラジル(12億9,400万ドル(16.1%増))、第3位が中国(9.940万ドル(30.4%増))。


エ またアジア諸国からの輸入では、韓国が第7位(9,000万ドル、109.5%増)、台湾が第14位(8,900万ドル、14.5%増)、インドが第15位(6,100万ドル、55%増)となった。

 

(3)日本との貿易


ア 1-11月の日本への輸出額(フリーゾーンを除く)は925万3,350ドル。主要輸出品は、羊毛(427万ドル)、羊脂(109万ドル)、冷凍魚(92万ドル)であった。


イ 1-11月の日本からの輸入額(フリーゾーンを除く)は、8,693万ドル。主要輸入品は、合成ゴム関連品等(1,620万ドル)、観光バス等自動車(1,334万ドル)、印刷機器等(479万ドル)であった。


ウ また、ウルグアイのフリーゾーンから日本へのトランジット額は、8,022万ドル、日本からウルグアイのフリーゾーンへのトランジット額は、741万ドルとなった(UruguayXXI)。

 

4.農牧水産業


(1)大豆作付け


ア この2年間、大豆の作付面積は86万haで推移しており、2012年も86万haと予想され、ウルグアイ国内における大豆作付面積は1,00万ha程度が限界。また、2011年の生産性はラニーニャ現象の影響で1,788kg/haであったが、2012年もラニーニャ現象の影響で同程度の生産性になると見込まれ、この場合、2012年の生産量は150万トン程度の見通し。(10月14日付「エル・オブセルバドール」紙)


イ アルゼンチン資本の生産大手はウルグアイにおける穀物栽培の約半分の50万haを占めているが、人件費、輸送コスト、農地借料が高騰しているため、これらの生産大手がウルグアイから撤退もしくは耕地面積を縮小させている。


ウ  ウルグアイとアルゼンチンでは生産コストに差がなくなる一方で、大豆の生産性ではアルゼンチンの3,000kg/haに対してウルグアイは1,800~2,000kg/haとなっており、2,000kg/ha以下では赤字となる。また、農牧水産省の規制により輪作を行う必要があり、現在の生産コストではソルガム等を栽培しても赤字になる可能性が高い。


エ 今回の大豆生産ブームで最も利益を得たのは土地所有者であり、昨年の農地借料は大豆500kg/ha相当であったが、今年の借料は600~700kg/ha相当と12%-14%ほど上昇している。(11月17日付「ブスケダ」紙)


(2)穀物備蓄能力の上昇等


ア 2001年から2011年の10年間で、備蓄能力は75%上昇し、250万トンから450万トンとなった。上昇した200万トンのうち、100万トンはヌエバ・パルミラにあり、備蓄能力の約60%が港周辺にある。(11日付エル・テレグラフォ紙)


イ ピンタード運輸公共事業大臣が毎年6,000万ドル、20年間で12億ドルを道路整備に投資することを発表。まずは穀物及び木材の運搬経路であるヌエバ・パルミラ周辺の国道を整備する(15日大統領府HP)


ウ フロリダ県での穀物生産の上昇を受け、フロリダ農業協会が主な株主となり21,000トンのサイロを建設。投資額は500万ドルで、9ヶ月後に完成予定。(3日付「エル・オブセルバドール」紙)
エ カーギル社がヌエバ・パルミラに備蓄能力44,000トンのサイロを建設。さらに、同敷地内でプラスチックサイロによる60,000トンの備蓄が可能。同社はアルゼンチンとパラグアイにおける穀物輸出最大手。ウルグアイへは2005年に進出し、直接栽培は行っておらず、流通と輸出を行っている。(16日付「エル・オブセルバドール」紙)


オ モンテビデオ港における新穀物ターミナル建設のため、港湾局(ANP)がObrinel社に土地を20年間の契約でリース。同ターミナルには21万トンのサイロと38,000トンの木材チップ倉庫が建設予定。ターミナルの水深を12mまで掘り下げる予定。投資額は6,500万ドルで2013年に完成予定(18日及び21日付「エル・パイス」紙)

 

5.労働


(1)失業率


9月の失業率は、前月より0.1ポイント上がり6%となった(INE)。


(2)労働争議


カトリック大学の調査によると、10月の労働争議件数は前月より36%増加した。全体の争議の内の70%は金属労組によるものであった。また全15件の内5件は、前月より続いているものであった。民間セクターでの争議が全体の84%を占めた。労働喪失日は21万5,990日、参加者は8万1,888人。金属労組による争議が激しかった上、1件あたりの参加者が多かったのが今月の特徴(11日付「エル・パイス」紙)。

 

6.エネルギー


(1)ANCAPによるエタノール、バイオディーゼル生産事業


燃料・アルコール・セメント公社(ANCAP)は、今後1億3,000万ドルを投資し、エタノール、バイオディーゼルの生産工場を建設する予定(15日付「エル・パイス」紙)。


(2)サイクルコンビナート発電所建設事業


25日、Punta del Tigreでのサイクルコンビナート発電所建設事業の入札が開始された。同事業には、アンデス開発公社(CAF)が1億8,000万ドルの融資を行う予定(15日付「エル・パイス」紙及び25日付「ラ・レプブリカ」紙)。

 

7.インフラ


(1)ANCAPによる鉄道事業


ANCAPは、セメント輸送のための鉄道リハビリ事業を行うと発表した(3日付「エル・オブセルバドール」紙)。


(2)モンテビデオ港の稼働率


国家港湾局(ANP)は1-10月のモンテビデオ港の稼働率は73万7,000テウスとなり、前年同期比35.7%増となったと発表した。10月は7万1,000テウスで18%増。本年は86万テウス、36%増が見込まれている(7日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)。


(3)Puntas de Sayago及びCapurroの港湾施設建設事業


ANPは、Puntas de Sayago及びCapurroの港湾施設建設事業の入札について、(12月から3月頃の)夏休みを避けて4月に延期する予定(18日「エル・パイス」紙)。

 

8.自動車


(1)新車販売台数


1-10月までの新車の販売台数は4万1,000台となった。2010年の販売台数は4万2,672台であったが、本年は5万台以上の販売となると見込まれている(29日「ウルティマス・ノティシアス」紙)。


(2)タクシーへのハイブリッドカーの導入


ア 14日、政府は年内にはタクシーの燃料コスト削減のための法案を準備すると発表した。今後政府は、タクシーにハイブリッドカーを導入する予定(15日「エル・パイス」紙)。


イ なお、ANCAPと工業エネルギー鉱業省は、燃費の節約措置に関する調査を開始した。今後省エネ、排ガス規制を検討し、燃費を14%節約することを念頭に置いている(28日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)。


ウ また、工業エネルギー鉱業省は、今後のハイブリッドカーの使用を検討するため、まず同省で試験的に使用するために3台のハイブリッドカー購入の入札を実施する予定。

 

9.対外関係


(1)ブラジル


ア ウルグアイの繊維製品の輸入一時停止措置


(ア)ウルグアイの繊維業者がダンピング品を利用している疑いがあるとして、対ブラジル輸出がウルグアイの繊維繊維品輸入を一時停止している件につき、ブラジル政府はウルグアイ企業に、1月15日を期限として、原産地規則の審査を行うと通報した。


(イ)これまでウルグアイは繊維製品の75%をブラジルへ、25%をアルゼンチンへ輸出していたが、ウルグアイの寝具、食卓・洗面所衣料輸出会議所(Cameba)会長は、現状では中国からの原料輸入が出来ず、生産を50%縮小することになると述べた。本件により、13の関連企業で167人が解雇され、132人が失業保険の対象となっている。


(ウ)工業エネルギー鉱業省トレス工業局長は、今後企業と会合を持ち、ブラジルの措置による影響の現状把握を行うとともに、今後の対策について意見交換を行うと述べた(10日付「エル・パイス」紙)。


(2)アルゼンチン


最近、ウルグアイでドルを買うアルゼンチン人が増えている中、アルゼンチンの中銀が、共和国銀行のアルゼンチンペソを同国に持ってくることを許可しないという回章を発出したことにより、共和国銀行は、海外の他の金融機関でアルゼンチンペソを受け取ってもらえるところを探すことを検討する事態となった。アルゼンチンペソは1日以降19%ペソ安となった(16日「エル・パイス」紙)。


(3)中国


中国のSinomach社は、YTOグループと共にウルグアイで農業用機械等の組み立て工場を建設することに関心を示しており、関係者がブレッチア大統領府長官及びクレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣を表敬訪問した(16日「エル・パイス」紙)。

 

10.その他


(1)アラティリ社


ウルグアイ環境省は、アラティリ社の事業に関し、今後18ヶ月で環境に関するフィージビリティースタディーの結果を発表予定(4日付「ウルティマス・ノティシアス」紙)


(2)ANCAPのセメント生産


ANCAPは、来年よりパイサンドゥ県及びラバジェハ県でセメント生産を開始予定。エクアドル、ボリビア、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、アンゴラがウルグアイからのセメント輸入に関心を示している。パイサンドゥ県では2014年半ばには年間80万トン、ラバジェハ県では2013年には30万トンの生産を見込んでいる(9日付「ラ・レプブリカ」紙)。


(3)タカタ


サン・ホセ県はエアーバック生産工場を建設中のタカタは、本年予定されていた操業開始を来年に延期すると述べた(10日付「エル・パイス」紙)。


(4)銀行預金


外国人による預金は、預金全体の74.4%を占め、24億5,000万ドルとなった(中銀)。
(5)南米銀行(Banco del Sur)設立に向けた動き
これまでアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、エクアドル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラの首脳により合意されているBanco del Surの設立に関し、ウルグアイ国会での承認が待たれている。なお、ウルグアイは同機関に4億ドルの拠出を行う予定(25日付「エル・パイス」紙)。