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Japan

在ウルグアイ日本国大使館
Embajada del Japón en el Uruguay

 
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ウルグアイ経済:1月

1.経済概要

(1)2010年1月から9月の経済成長率は8.8%。2010年の成長率
は8.3%となることが見込まれている。他方、物価上昇率が6.9%となっており、今後の数値が政府の設定する枠内におさまるかどうかが疑問視されている。

(2)工業生産指数等の他、自動車の新車の販売、貿易も増加している。20
10年11月の工業生産指数は前年同期比8.2ポイント増。2010年の新車販売台数は昨年比64.3%増。本年1月の輸出は前年同期比27.1%増。輸入は44.8%増。

(3)2010年は牛肉、穀物の輸出も増加したが、今後の干ばつの影響が懸
念されている。

(4)失業率が低下しており、2010年11月は6.1%。経済成長の中、
労働力不足が指摘されている。

(5)現政権の課題の一つである電力問題対策として、風力発電をはじめとす
る再生可能エネルギープロジェクトが進められており、入札が行われている。

(6)今後セルロース工場建設や中国によるクエン酸生産工場建設事業が開始
される予定。また、韓国は、ウルグアイでCDM事業を行っている。

(7)今後3億ドルのサムライ債発行が報じられた。

(8)ウルグアイの携帯利用率は127%と高く、インターネット普及率も高いが、今後更に通信網の整備が行われる予定。光ファイバー増設が計画されている。

(9)ヘリテージ財団による経済自由度指数で、ウルグアイはラ米諸国で3位となった。

 

2.主要経済指標等

(1)経済成長率等

(ア)経済財務省によると、2010年第三四半期の経済成長率は1%、1月から9月の季節調整済みの成長率は8.8%となった。企業アナリストは、2010年の成長率を8.3%、2011年の成長率を5.3%と予測している。

(イ)また、世銀はウルグアイの2011年の経済成長率は4.6%、2012年は4.2%と予測している他、2011年の財政赤字はGDP比0.7%、2012年は0.6%となると見ている。

(ウ)2010年の消費者物価指数は、非貿易財(ガソリン・保健サービス・公共交通等の価格を除く)の価格が上昇した他、国際コモディティー価格の上昇、国内需要の増加が影響し6.9%となり、7%を上限としていた政府の物価指数の枠内にはおさまったが、2009年の5.9%を上回る数値となった。また、15日付当地「エル・パイス」紙によると、ウルグアイのインフレ率は、世界78カ国中、16番目に高く、ラテンアメリカ各国の中では、ベネズエラ、アルゼンチン、ニカラグア、ボリビア、パラグアイに次いで6番目。2010年のウルグアイのインフレ率は、7年連続で10%を下回ったが、他国との比較では16位と20位以内に入る結果となった。政府は、今年の当国のインフレは4%から6%と見積もっているが、経済アナリスト等は平均6.7%となると予測している。また国際コンサルタント会社のアナリスト等は、インフレ抑制が本年のウルグアイ経済の課題の一つとなると見ている。

(2)債務

  経済財務省によると、2010年第三四半期の公的債務の純額は122億ドルとなり、GDPの31.5%を占めることとなった。

(3)為替

  2010年は政府が21億ドル以上のドル買いを行い、1ドル20ペソ台に抑えた。2010年11月の実質為替レートは昨年同期比▲5.1%となった。

(4)工業生産指数等

(ア)経済財務省によると、2010年第三四半期の民間セクターの生産量は、第二四半期比では0.1%増であったが、前年同期比▲3.1%。これは農業の生産減(小麦及び大麦の耕地面積減による生産減)及び牧畜の生産減(家畜の数量調節のため屠殺数が減少した)によるところが大きい。

(イ)2010年第三四半期までの製造業生産はパルプ、木材、ゴム、繊維、自動車部品の生産増により前年同期比2.6%増となった。他方、日用品・食肉生産は減少した。

(ウ)電力・ガス・水部門は、2009年後半の雨量により水力発電量が増加したことにより、前年同期比79.6%増。

(エ)建設業は前年同期比1.8%増。特に電力公社(UTE)による民間委託事業が完了したことなどが影響している。

(オ)商業・レストラン・ホテル業は、第二四半期比1.6%増。昨年比14.7%増。自動車をはじめとする輸入品の他、ホテルサービス業の売り上げ上昇がこれに寄与している。

(カ)また、2010年11月の工業生産指数は前年同期比8.2ポイント増加。20分野の内、食品・飲料や化学製品、紙製品の生産等が増加。皮革・石油製品の生産は減少した。

(5)自動車

  2010年の新車の販売台数は42,674台となり、昨年比64.3%増となった。シボレー、フィアット、日産、中国のCheryの売れ行きが良かった。また、バス・トラックの売り上げは3,046台で昨年比27.9%となった。バス・トラックはフォルクスワーゲンの売り上げが高かった。

 

3.貿易

(1)輸出

(ア)1月の輸出額は5億3,400万ドルで、前年同期比27.1%増。輸
出額の増加率が最も大きかったのは冷凍牛肉で8,800万ドルとなり、前年同期比27.5%増加。牛肉の31%はロシアへ、15%はイスラエルへ、8%はベネズエラへ輸出された。なお、生牛は67%がトルコへ、12%がレバノンへ、12%がブラジルへ輸出されている。

(イ)輸出額が最も大きかったのは、牛肉(全体の16.5%)、次いで小麦(1
1.8%)、木材(5.2%)となった。

(2)輸入

(ア)1月の輸入額は6億3,300万ドルで前年同期比44.8%増。アル
ゼンチンからの輸入が最も多く、全体の23.4%(1億4,800万ドル)を占めた。次はブラジルで全体の17.4%(1億1,000万ドル)を占めた。

(イ)輸入品で最も多かったのは観光バスで、アルゼンチン(27.4%)、ブ
ラジル(23.8%)、メキシコ(13%)、中国(8.5%)から輸入された。次いで変圧器等が、フランス、ブラジル、イギリス等から輸入された。また自動車部品及び自動車関連品の輸入は、全体の2.8%を占めた。

(3)トランジット

  1月のペプシコーラの産品のトランジットは4,370万ドルとなり、前
年同期比62.2%増。他方、UPM社からは9,380万トンのセルロースがヌエバ・パルミラ港を経由して輸出された。

 

4.農牧業

(1)牛肉

  2010年の牛肉の輸出額は前年比1億8,000万ドルの増加となった。
また牛の輸出頭数は前年比▲4万頭であったが、昨年よりも価格が高騰している。

(2)穀物

(ア)UruguayXXIによると、2010年の大豆の輸出額はこの2年で倍増した。穀物の輸出は増加しており、大豆、小麦、米だけで輸出全体の21.4%を占める。大豆の輸出は2009年は輸出全体の5.4%であったが、2010年には10.4%を占めた。

(イ)また、穀物をはじめとする農業生産の拡大により、肥料の販売も増加している。2007年には35万トンであったが、2010年の売り上げは78万トンとなった。2010年の肥料の売上額は、2009年比20%増の2億5,000万ドルとなる見込み。

(3)気候

  干ばつの影響により、トウモロコシ及びモロコシの生産が最もダメージを受けた。また大豆の二回目の種まきの時期には当初予定していた種まきの35%の種を蒔くことが出来なかった。

 

5.労働

(1)2010年11月の失業率は6.1%、1月から11月までの平均失業率は6.8%で、前年同期の平均7.4%を下回る数値となった。

(2)経済成長と失業率低下に伴い、労働力が不足しており、地方ではボリビア人やエクアドル人、漁業分野ではペルー人、森林業ではチリ人労働者が採用されている。特に労働力を必要としている建設業の会議所幹部は、今後の人材確保のため政府や他産業の関係者との話し合いを始めている。

 

6.エネルギー

(1)今後のプロジェクト

(ア)24日、ムヒカ大統領が本年の優先課題の一つとしてエネルギーを挙げたことを受け、クレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣は、閣僚会合で今後のエネルギーに関するプロジェクトを発表した。

(イ)風力発電について、政府は2014年までに500MWの発電を計画しているが、その内150MWについては本年4~5月に入札を実施すること、200MWについては電力公社(UTE)が民間企業と協力して実施することとしている。残り150MWについては、現在入札を実施している。

(ウ)バイオ燃料については、今後エタノールを7万立方メートル生産するための蒸留器を設置する他、今後の開発に関する調査を実施する。

(エ)また、水力発電については、今後最大10MWの小規模発電所を3カ所設置するための調査を行う他、発電事業10件のフィージビリティースタディーを実施する予定である。

(オ)更に、火力発電のための発電所については、今後2~3段階に分けて建設を行うために4月に入札を行う予定であり、2013年には最初の発電所を稼働させることを検討している。

(カ)アルゼンチンとの協力により製造される天然ガスの再気化工場の入札も行われる予定(工業エネルギー鉱業省のプレスリリースによると、モンテビデオの沖合に液化天然ガスの再気化のための船を建設し、60キロのパイプラインで陸に輸送するもの。国内需要増加に対応するため、一日1,000万から1,500万立方メートルの天然ガスの再気化を行う。これにより電力公社(UTE)は火力発電のコストが下がることを見込んでいる。当国政府とアルゼンチン政府は本件協力に関する協議を進めており、本年秋に入札が行われる予定)。

(2)産業界からの陳情

(ア)25日、産業用電力大規模消費者協会は、クレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣に対し、電力料金値下げ及び電力産業の規制緩和等を要請する書簡を提出した。同委員会は来月ムヒカ大統領に陳情を行うことも要請した。

(イ)同委員会によると、電力料金はこの3年間で37%上がりMW/hあたり67.2ドルから91ドルとなっており、民間企業同士で電力が売買出来るよう規制を緩和する等、エネルギー分野における民間企業の自由化の拡大、電力公社(UTE)の送電線利用コストの値下げ(MW/hあたりの料金が6ドル以上にならないこと)を要請した。

(ウ)なお、これまでウルグアイはアルゼンチンからも電力を購入していたが、アルゼンチンは猛暑により電力消費が増えており、一時的に当国への電力輸送をストップしている。当国では現在国内電力需要の約半分を水力発電(Rio Negro及びSalto Grandeのダム)、残りの半分を火力発電により賄っている。

(3)風力発電に関する入札結果

(ア)26日、150MWの風力発電所設置に関する入札の結果、スペインのTeyma社、アルゼンチンのImpsa社及びFingano社が落札した。投資額は1社1億ドルずつの計3億ドル。これにより、Teyma社がタクアレンボー県に、Impsa社がラバジェハ県に、Fingano社がマルドナド県に各々50MWの風力発電所を設置することとなった。これは現在稼働している電力公社(UTE)の20MW風力発電所(マルドナド県のSierra de los Caracoles)よりも大規模なものとなる。

(イ)1MW/hの金額は20年間固定とし、各社は最大3年間オペレーションを実施することとなった。なお、Impsaは1MW/hあたり81.15ドル、Finganoは84.53ドル、Teymaは86.26ドルの金額を提示し落札となった。

 

  • その他

(1)18日、スウェーデンのStora Enso社及びチリのArauco社のジョイントベンチャーであるMontes del Plata社が、コロニア県にセルロース工場を建設すると発表した。投資額は当国では史上最高の約19億ドル。同社は、セルロース工場のみならず、パルプ輸送のための深水港及び発電所も備えた施設を建設し、2013年の第三四半期に稼働を開始する予定。今後は年間130万トンのセルロースを生産し、北米やヨーロッパ、アジア等へ輸出することを考えている。

(2)21日、今後ウルグアイ政府により3億ドルの新規サムライ債が発行される予定であることが報じられた。

(3)(ア)ウルグアイの携帯利用は約450万個。また、プランセイバルの効果もありインターネット普及率も高い。今後政府はブロードバンドの普及・拡大のためにマルドナド県にアルゼンチンのTelecom社の協力により、320ギガの通信網を導入する予定。また、光ファイバーの開発を行うため、モンテビデオ及びマルドナド県に500箇所の教育センターを設置する予定。これにより、現在30%である光ファイバーの普及率を倍増することを考えている。

(イ)なお、通信規制委員会のデータによると、固定電話普及率は30%、携帯電話普及率は127%。世銀のデータによると、テレビを持っている家庭の割合は91%である。またテレビ局数は国営放送1局(Canal 5)、民間放送3局(Canal4,10,12)となっている。

(4)(ア)ヘリテージ財団は2011年度版経済自由度指数の報告書においてウルグアイの順位及び当国についての評価を発表した。ウルグアイの経済自由度は、179カ国中33位。ラテンアメリカ諸国ではチリ及びサンタルシアに続いて3位。自由度のグループでは、上から2番目の「ほぼ自由」に含まれている。

(イ)またウルグアイの評価については、貿易が自由化されており、税に競争力がある(例えば輸出業者に対しては、間接税(IVA:22%)が還付される他、輸出税はかからない)。経済活動に対してかかるビジネス環境も改善されてきている。民間企業セクターがよりダイナミックに活動しており、外部環境に左右されない顕著な経済成長に貢献している、所有権も保護されており、対外投資に対する規制が無いことにより、投資の強化及び安定化が促進されている、但し、経済自由度は経済への国家の介入により制限されている。金融セクターへの政府介入により、民間セクターの成長が妨げられている、インフレ率は比較的高く、価格設定への政府の介入は長期的な経済成長にとって重荷となっている(2010年のインフレ率は6.9%。また政府はこれまで石油価格の高騰の際に燃料価格据え置きのため介入を行っている)とされている。

  • 電話公社(ANTEL)は、今後1億ドルを投資し、光ファイバーケーブルの
      増設を行うことを発表した。同事業により、2011年第二四半期にはイン
      ターネットを利用できる家庭を増やす予定。
  • 韓国のPOSCO社による当国での植林によるCDM事業が国連のCDM
      理事会でCDMプロジェクトとして登録された。同社は550万ドルを投資
      し、当国に2万ヘクタールの森林を購入して植林によるCDM事業を行う。
      2009年8月には1,000ヘクタールの土地が購入され、88万本のユ
      ーカリの木を植林し、フィージビリティ・チェックのためのサンプルデータ
      収集が行われていた。2010年には当国政府によりCDM事業と認定され
      ている。
  • クレイメルマン工業エネルギー鉱業大臣は、本年3月より中国の
      BBCA社(バイオテクノロジー)がトウモロコシ及びモロコシを加工し、
      年間6万トンのソフトドリンク・医薬品用のクエン酸の生産工場建設を開始
      すると発表した。